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穢れた聴覚

仙人

通訳・翻訳者リレーブログ

今、噂のモスキートーン。テストしてみましたよ。ミーハーですから。で、当然ですけど、私には聞こえませんでした。そりゃね、昔からブースでヘッドホンの音を頼りにしたり、今でも音質の悪い映像に耳を澄ませたりと、聴覚にはダメージを与えることを続けてきたから……って、違いますよね、歳です。チェックしたい方は:
http://www.mosquitone.net/
これって本当に見事に、若者には聞こえるんですね。すごいです。境界は、25歳ぐらいのようです。なんだかSFちっくな話なので、自分が聞こえない残念な気持ちより、ちょっと不思議なスリルを感じます。
それで、昔いつも観ていたNHKの少年ドラマシリーズの中でも、特に好きだった作品を思い出しました。インターネットで検索したら、おそらく原作が佐野洋さんの『赤外音楽』というものだと思うのですけど、違うかもしれません。もうすぐ地球滅亡の日が迫っていて、特殊音をラジオなどで流し、それが聞こえる人は優秀なので他の星へ移住させようという話で、聞こえる人には『美しき青きドナウ』(だったと思う)が聞こえるのです。聞こえた人は、パニックを避けるために、このことを口外してはいけません。ただその人たちも友人や家族などを一緒に連れて行きたいので、特殊音を出す装置を叩き続け、早く気づいてくれと祈るのですが、家族の中でも聞こえる人・聞こえない人が出たりという悲劇が起こり、最後に主人公は家族や友人と一緒にいることを選んで滅亡の日を待つ——というような話でした。
この話を思い出して、このモスキートーンみたいなのを利用して、若者を洗脳しようとか、抹殺しようとか、そういうテロとか起きたりして……とさらにSFちっくなことを考えてしまったのです。もともと若者退治の音だったらしいのですけど、たぶん世の中で退治したいと思われる対象になるのって、きっとこれが聞こえない人たちなんでしょうね。これが聞こえなくなるぐらいの年齢で、いろんなものへの耐性というか免疫というかがよくも悪くもできてしまうんでしょう。
モスキートーンのサイトではトーンが4段階で、1は普通の若者、2はヘッドフォンタイプのプレーヤーを愛用していない若者、3は赤ちゃんあるいは犬なら聞けるレベル、そして4が聞こえるなら、こんなところにいないで自分の星に帰りなさい、となっています。やっぱりSFでしょ?

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記事を書いた人

仙人

大学在学中に通訳者としての活動を開始。卒業後は、外資系消費財メーカーのマーケティング分野でキャリアアップ。その後、外資系企業のトップまでキャリアを極めた後、現在は、フリーランス翻訳者として活躍中。趣味は、「筋肉を大きくすることと読書」

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