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観て来ました!ロイヤルバレエ!(3階から)

背番号8

通訳・翻訳者リレーブログ

通訳の方でバレエを習ってらっしゃる方も多い様ですが、来日中の英国ロイヤルバレエ団の公演を観に行かれた方もいるのでは?そしてもうすぐABT(アメリカンバレエシアター)の来日公演も始まり、懐具合を心配しつつもバレエファンにはたまらない夏かと。

今回の目玉は”ロイヤルの至宝”と称えられる日本人プリンシパル吉田都さんで、世界三大バレエ団に数えられるロイヤルで10年以上もプリンシパルでいると言えばどれだけすごいことかおわかりになってもらえるでしょうか。えーと、セリエAで言えばミランで10年以上プレーしてるマルディーニ並みのすごさです(チェーザレパパじゃなくてパオロの方ね、当たり前ですが)。タイトルロールを踊る「シンデレラ」のチケットはもちろん争奪戦。私も観て来ました、三階から...。これは罰ゲームか?ってくらい端〜っこの席でしたが。”リリカル”とか”繊細”とか表現されることの多い吉田都さんの踊りですが、バレエをちょっとかじったことがある人が見たら腰を抜かす程の正確さ。何回ピルエット(回転)しても軸はぶれないし(これを私のスタジオの先生は「焼き鳥の串が刺さった状態」と呼ぶ)、足先指先までがいつ何時でも美しく決まっている。だからと言って決して機械的ではなく、むしろ感情のこもった、こちらまで思わずつられて微笑んだり泣いてしまうような踊りをされます。「シンデレラ」でも舞踏会に連れて行ってもらえずホウキをパートナーに見立ててひとりせっせと踊りの練習をするシーンはあくまでも可愛らしく、しかし王子様と出逢った瞬間にこちらまでせつなくなるくらい全身”恋する乙女!”となる見事さ。カーテンコールではいつまでもいつまでも満場の拍手が鳴り止まず、都さんが口元に手をあて投げキスの様な仕草をされたので「おお?そういうキャラではなかったはずだが?」と思ったら実は思わず涙ぐんでいた様です。ほろり..。

ロイヤルは熊川哲也さんが入団された時は唯一の東洋人だったそうですが(あ、熊川さんも「シンデレラ」観に来てました)、今はかなり多国籍なバレエ団となっており、プリンシパルを見てもイギリス人以外に日本、南米、ヨーロッパ、旧東欧出身のダンサーが揃い踏みです。それ故に現役イギリス人プリンシパル2人(ジョナサン・コープとダーシー・バッセル。どちらも素敵なダンサーです)が引退したら本国出身のプリンシパルがいなくなってしまうのでは、という危惧もあるようです。

ちなみに映画「リトル・ダンサー」(原題「Billy Elliot」←これこのままだったら日本人には何の映画かさっぱり想像できなかったのでは。映画の字幕やタイトル訳もかなりやりがいがありそうな仕事ですねーと閑話休題)の成長したビリー役を演じたのもロイヤル出身のアダム・クーパーで、彼はマシュー・ボーンの「白鳥の湖」で日本でも押しも押されぬ人気者となりましたが。

こうやってバレエに限らず最近はサッカー、卓球、F1…いろいろなエリアで日本人の方々が活躍しているのを見ると励まされますね。これからどんどん外に向かって扉を開いていろんなものを取り入れていくお手伝いがなんらかの形できればな、なんて思います。

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背番号8

イギリスに長期留学後、インハウス通訳者として数社に勤務。現在は、フリーランス通翻訳者として活躍中。若手通訳有望株の一人!

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