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通訳って、人気ないのでしょうか?

Hubbub from the Hub

通訳・翻訳者リレーブログ

先日、私の大学の大先輩である通訳者の方と、最近の大学生の就職事情について話をする機会がありました。その先輩通訳者と一緒にセミナーで通訳をするチャンスに恵まれ、その際に数名の現役大学生で通訳トレーニングを受けている人に、現場の雰囲気を味わせてあげよう、という趣旨で数名を招待したのです。大学に入学した時から通訳のトレーニングを受けている学生で、非常に優秀な学生2名でしたが、2人ともひとまずは就職を考えているとの事。もちろん通訳という仕事の性格上、一度就職してから通訳を目指すことが十分に可能ですし、そのメリットも非常に大きいと思います。しかしその先輩通訳者は、「昔は同期で数名は卒業後そのまま通訳になった人もいたんだけどね」とおっしゃっていました。そう考えると、自分の周囲にも卒業後にそのまま通訳者になった人は私以外に1人もいません。就職して通訳や翻訳をしている人は数名いますが、肩書きはあくまでも通常の社員です。

小学生が夢の職業として「安定性があるから公務員」と言う時代だからなのでしょうか? 公務員と安定性を結びつけることの是非や真偽は別にしても、確かに大卒でそのまま通訳者になることのリスクは大きいのでしょう。でもそれだけが原因なのか、とも思います。

想像の粋を超えませんが、通訳者になりたいと願う人は沢山いると思います。通訳学校も人気があるようですし、大学の通訳講座も大人気です。外国語の学習熱も冷めていません。色々な分野を垣間見れて、様々な知識が身に付き、工事中のビルの45階にヘルメットをつけて上ったり、開発中の燃料自動車に乗ったり、普通ではできない経験もできます。交渉の場面であれば、それまでのメールのやり取りでお互いの考え方の違いばかりに意識を取られていた両者が、自分の目の前で「やはりあなたの会社と取引をしてよかった」と握手をする場面に立会い、その過程で少しだけ役割を果たすことができます。非常に魅力のある職業だと思うのですが、現役大学生の間で人気が低下しているのは、なぜでしょうか?

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Hubbub from the Hub

幼い頃から英語に触れ、大学在学中よりフリーランス会議通訳者として活躍、現在は米国大学院に籍を置き、研究生活と通訳の二束のわらじをはいている。

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