INTERPRETATION

第3回 リスニングやり直し法 1

上谷覚志

忙しい人のためのビジネス英語道場

  前回、SMARTで学習計画を立てるという話をしましたが、実行してみましたか?英語の勉強を始めようと思った気持ちのまま、一気に勉強を始めたいのはよくわかります。計画を立てるのに何時間もかける必要はありません。いつまでに、何を、どこまでやりたいのかを明確にして、使用する教材を決めるだけであれば、1時間もあれば十分できるはずですので、ぜひ試してみてください。

  さて、今回はリスニングについて考えてみたいと思います。スピーキング、リーディング、ライティング、リスニングの中で、リスニングが苦手という方は多いと思います。他の3つのスキルは、自分で内容もスピードもコントロールできますが、リスニングは内容もスピードも相手に合わせないといけないので、その分難しいと思います。またアメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語、インド英語、シンガポール英語等さまざまなタイプの英語にも対応していこうとすると、聞けるようになるためにはかなりの時間がかかります。

  ほとんどの方がリスニングの勉強なんだから、とにかく”聞く”練習をするのではないでしょうか?今はポッドキャストで音声を聞くこともできますし、ネットには無料の音声教材が無数にあります。また書店に行けば、シャドーイングやディクテーション教材、ニュース英語の教材、映画を使った教材等たくさんあります。中には、速い音にも対応できるように~倍速で録音されたものを聞いて、速さに慣れるといった教材まであります。

  たくさん聞けば本当に英語のリスニング力がアップするのでしょうか?答えはYESでもありNOでもあります。聞く量を増やすことは必要ですが、それだけでリスニング力が伸びるわけではありません。まず、リスニングの勉強を2つに分けて考えてみましょう。1つは音と音の繋がりに慣れる、間違って覚えている単語の発音を矯正するといった音声的なトレーニングで、もう一つが話されるスピードで内容を理解する(情報を処理する)ためのトレーニングです。

前者の音声的なトレーニングでは、ただ聞くだけでは無駄が多すぎるので、ターゲットの音声(例えばTOEICのリスニング)を数回聞き、そのスクリプトを見ながら、聞き取れなかった箇所を洗い出します。この洗い出しをせずに、ただ聞くだけではリスニング力を伸ばすことはできません。そして音声トレーニングは課題を絞り込むほどより効果的な対策を取ることができます。

実際のコミュニケーションの場でも、相手が言っていることがわからない場合は、質問をして確認します。勉強でも同じです。わからない場合は、頑張って聞き続けるのではなく、不明な個所を明確にして(質問して)、スクリプトを見る(確認する)作業を入れていくと効率よくリスニングを伸ばすことができます。この作業をした後で、同じ教材を繰り返し聞けば、同じ時間でより早くリスニング力を上げることができます。

効率的なリスニングトレーニングをまとめると次のようになります。

① リスニングを伸ばしたい対象を決める(絞り込む)

② 数回聞いて、聞き取れたところとそうでないところを確認する

③ スクリプトを見て、なぜ聞き取れなかったのか(どう聞こえたのか)を確認する

④ スクリプトを見ながら、意味を確認する

⑤ 音声を聞きながら、聞き取れなかった箇所の文字と音を合わせ、その箇所だけ音声に合わせて声に出す

⑥ 総仕上げとして、全体を最初から聞いてみて、わかるかどうか確認する

⑤まで終えてから、繰り返し音声を聞くとより高い効果を上げることができます。逆に①~⑤までの作業なしに、大量の音声を聞いてもあまり効果がありませんので、くれぐれもこういった作業をしてから、音声を聞くようにしてください。

次回はリスニングの情報処理についてみたいと思います。

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記事を書いた人

上谷覚志

大阪大学卒業後、オーストラリアのクイーンズランド大学通訳翻訳修士号とオーストラリア会議通訳者資格を同時に取得し帰国。その後IT、金融、TVショッピングの社での社内通訳を経て、現在フリーランス通訳としてIT,金融、法律を中心としたビジネス通訳として商談、セミナー等幅広い分野で活躍中。一方、予備校、通訳学校、大学でビジネス英語や通訳を20年以上教えてきのキャリアを持つ。2006 年にAccent on Communicationを設立し、通訳訓練法を使ったビジネス英語講座、TOEIC講座、通訳者養成講座を提供している。

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