INTERPRETATION

第134回 数字に強くなるために その6 「0の読み方」

グリーン裕美

ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!

皆さん、こんにちは。充実したゴールデンウイークを過ごされましたか。私は出張が続いていて当コラムを2週連続お休みして申し訳ございませんでした。どこに行っても出張先は快晴でイギリスに戻ると雨、ということが続いていましたが、先週後半からイギリスも快晴続きとなり嬉しいです。

ここ数カ月「数字に強くなるために」と題して通訳現場で数字が出た際になるべくスムーズに訳すための秘訣をお伝えしています。今回は、「0の読み方」を取り上げます。

「0って、単にzeroじゃないの?!」と思われたとすれば、この続きをどうぞお読みください!!

日本語では「れい」と言ったり「ゼロ」と言ったりしますが、英語では確かにふつうはzeroと読みます。ただし発音はzíərou。カタカナの「ゼロ」とはかなり響きが異なります。あえてカタカナで書くと「ズィロゥ」でしょうか。

けれども、住所や電話番号を含め、数字に0が入っているときに “Oh(オー)” または “Owe(オゥ)”と発音することもよくあります。海外のホテルではふつう「朝食券」というのはなく、レストランに入るときに部屋番号を聞かれます。「501号室」に宿泊しているとすれば、英語で何と言いますか? ネイティブならふつうfive oh oneと言うでしょう。もちろんfive zero oneとも言う人もいるでしょうし、five hundred oneでも通じますがネイティブなら言わないと思います。

スポーツの試合などで「10対0で負けた」を英語でいうといかがでしょうか?

We were beaten by ten to zero.

でも通じますが、ネイティブなら試合の得点が0の場合はnilを使います。

→They beat us ten-nil.

また特にイギリスではnought(nɔ́ːt)という言い方もよく聞きます(米語ではnaught)。

例えば、「先月の売上は0.5%増加した」を英語で言うと?

これは、Sales rose by nought point five percent last monthと言えます。

(注:書き言葉ではSales rose by 0.5% last month)

もちろん、zero point five percentとも言えますし、zeroやnoughtを省略して、単にpoint five percentと言うこともできます。ただnoughtという言い方もあることを覚えておくとよいでしょう。

自動車業界の通訳をする人も多いと思いますが、クルマの性能の話で0-100km/h(または 0 – 60mph)の加速度が話題になることもよくあります。時速100km(または時速60マイル)に達するまでに何秒かかったかで性能を比べるのに使われます。この「0-100km/h(または 0 – 60mph)」の読み方ですが、日本語では「ゼロヒャク」または「ゼロヒャッキロ」、英語ではnought to hundred (nought to sixty)。「時速」にあたる部分はふつう省略されます。

余談ですが、皆さんご存知のゲーム「三目並べ」は英語で何と言うでしょう? 3x3の格子に二人が交互に「〇」と「×」を書き込んで先に3つ並べたほうが勝ち、という子供のころ誰でも一度は遊んだゲーム。イギリスの子供も一度ははまります。日本語では「まるぺけ」や「まるばつゲーム」などとも呼ばれるそうですが、英語ではnoughts and crossesと言います。

このような「0の読み方の応用編」は使えなくても理解できると通訳現場で役立つと思います。自分が英訳するときはいつもzeroで通じたとしても、nilやnoughtが聞こえたときにちゃんと理解して訳せますから。

得点の話で使うnilは、今後ラグビーワールドカップやオリンピック通訳でも出ることでしょう。

以上、今週は「数字0の読み方」を取り上げました。少しでも皆様の学びとなれば幸いです。

2018年5月7日

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記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
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