INTERPRETATION

第116回 結婚に関連する用語

グリーン裕美

ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!

皆さん、こんにちは。11月も下旬になり、イギリスでは朝起きると外が霜で真っ白です。今週末は暖炉の火を点けました。炭や薪を燃やすとほっこりと暖かくなります。

今週のトピックは、英エコノミスト誌最新号(2017年11月25日発売)の特集から「Marriage(結婚)」を選びました! 「エコノミスト誌の記事は難しいので敬遠している」という人にとっても身近なトピックで読みやすいかと思います。

LeadersのA more perfect union: Marriage is more rewarding – but also more upmarket. That is a problem から日常的にも使えそうな用語を解説します。

1.wedlockとは?

ほとんどの英英辞典がthe state of being marriedと定義していますが、日本語に訳すときは文脈によって「結婚生活」「婚姻」「嫡出(ちゃくしゅつ)」など工夫をする必要があります。

・out-of-wedlock child: 婚外子、非嫡出子

・America has tried hard to promote wedlock among poor people since the 1990s, but failed utterly.(米国では1990年代以降貧困層における婚姻率引き上げのための懸命な取り組みがなされたにもかかわらず、大失敗に終わった)

2.「恋愛結婚」を英語で言うと?

珍しく(?)直訳のlove marriagesが使われます。ただし本記事では “love marriages” と引用符付きなのはなぜでしょう? これは、西洋(英語圏)ではふつう結婚 (marriage) というのは「恋愛結婚」が当たり前だからわざわざloveを付けないのですが、ここではarranged marriages(お見合い結婚)と対比して使われているからです。

3.「出会い系サイト」を英語で言うと?

「出会い」を英訳しようとすると meeting と思うかもしれませんが、英語ではdating websites, dating sites, online dating sitesなどと言われます。「出会う」というより「デートする」ためのサイトって感じですね。ちなみに「(誰々)とデートする」というときはdate with someone でなくて、date someone。withは不要です。「(彼氏/彼女として誰々)と付き合う」というときは、go out with someone が一般的です。

正式にお付き合いを申し込むときのセリフは、

Do you want to go out with me?

答えがYesだとofficial boyfriend/girlfriendとなります。

4.「独身者」を英語で言うと?

「私は独身です」だとI’m single とsingleの形容詞形を使いますが、「独身者/独り者」と名詞でいう場合は、singleton が使われます。(余談ですが、Singletonという姓の友人がいますが、結婚して子供が二人います)

5.「結婚する」を英語で言うと?

・「~と結婚する」という場合dateと同様、withは不要です。「同僚と結婚する」だとmarry a colleague。ただ、「~と結婚している」だと、is married to が使われます。

「ジョンはエイミーと結婚している」→ John is married to Amy.

「結婚する」はget married/hitchedやtie the knotという慣用表現もよく使われます。

・tie the knot:「結び目を作る」→「結ばれる」→「結婚する」

本記事では put a ring (指輪をはめる)も「結婚する」の意で使われています。

6. assortative matingとは?

遺伝学では「同類交配」と訳されますが、本記事では high-achievers marry other high-achievers (仕事で成功している人は同じように成功している相手と結婚する)と説明しています。この傾向が高まることで格差が広がり社会的流動性(social mobility)が低下することが懸念されています。

気になる日本の状況としては、このように書かれています。

For a long time Japan resisted it: highly educated women were less likely to marry than others. Now they are more likely to (and less likely to divorce).

「日本は長い間前述の傾向に抵抗し、高学歴女性の婚姻率が低かった。けれども最近は高学歴の女性の方が婚姻率が高く離婚率は低くなっている」とのこと。

結婚のあり方、というのが西洋だけでなく、世界中のあらゆる文化・国々で変わりつつあることが特集で取り上げられています。

以上、結婚関係の用語を取り上げました。英会話でもお役立てば幸いです。

2017年11月26日

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記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
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