INTERPRETATION

第97回 ちょっとしたヒントあれこれ

柴原早苗

通訳者のひよこたちへ

あっという間に12月も半ばに差し掛かかりましたね。店頭にはお掃除関連のグッズもたくさん売られています。我が家もクリスマスカードや年賀状の準備、大掃除など、色々と動き始めたいと思っているところです。

さて、今回は少し軽い話題にして、「最近やってみて役立った小さなヒント」をいくつかご紹介します。

1.リップクリームのケースに輪ゴムを巻く
この時期、リップクリームは必需品ですよね。私は仕事場に着くとハンドクリームで手を潤し、リップクリームも塗り、来たる通訳業務に備えます。ところがクリーム塗付後の手は滑りやすく、リップクリームのキャップも開け辛いもの。そこでケースに輪ゴムを巻いてみました。ぐるぐる巻きにするだけでOK。それが滑り止めとなり、クリームでべたついた手でも開けやすくなります。

2.気が付いたらとにかくすぐ掃除
たとえば窓の桟。掃除を少し怠るとすぐに汚れてしまいます。「時間ができたら掃除機の丸ブラシで吸い取ろう」などと思っても、ついそのままになりがちです。我が家では、朝換気で窓を開けた際、桟が汚れていたらそのままティッシュでふき取っています。完全にきれいにはなりませんが、少なくとも大きなホコリは取り除けます。

3.面倒でも「必ず元に戻す」
「すぐ後で使うから」とついそのままにしてしまうことは、誰でもあるものです。かつて私は、コートやジャケットに手袋や鍵などを入れたままにしていました。「また明日もこれを着るのだし」という理由からです。ところが天候が変わり、別のものを着ようとなると手袋や鍵を探すことになってしまいます。ですので、面倒でもすぐまた使うものでも、必ず物の保管場所を定めて、そこに戻すようにしています。現在、手袋と鍵はドアフックの後ろが定位置です。

4.残り物料理には付箋紙に名前と日付を
余った料理を冷蔵庫にしまう際、私は付箋紙に日付と料理名を書いています。透明の容器なので特に名前を書かなくてもと思わなくもないのですが、少し日がたってしまうと、「これ、何だっけ?」となりかねません。日付を書いておけば、冷蔵庫を開けた際にどれが古い料理かが一目瞭然です。

5.翌日着る服は用意して吊るしておく
就寝前に私は新聞で翌日の天気予報を読み、それに合わせて着る服を選びます。私は手帳に毎日「その日に着た色合わせ」を記録しているので、なるべくバリエーションをもたらすようにしているのです。アクセサリーも合わせて用意しておきます。こうすることで、慌ただしい朝も焦らずに済むようになりました。

6.着払い宅配便代金は用意しておく
ネットショップで着払い商品を注文したら、あらかじめ金額を用意して封筒に入れておきます。宅配便担当者もお釣りは用意してくれていますが、やはりきっちり準備できればスムーズに受け渡しができますよね。ちなみに宅配便はハンコがなくてもサインでOKです。ハンコを探すために慌てるよりも、サインで済ませると良いでしょう。
なお、子どもたちの小学校での集金も、月初めの「学年だより」に徴収金額が出ているので、事前に揃えるようにしています。

7.アイロンがけは洗濯直後に
先日、念願のスタンド型アイロン台を購入しました。我が家はアイロン台とアイロンを洗濯機の横に置き、洗濯終了直後にかけるようにしています。以前はアイロン台がなく、食卓テーブルにバスタオルを敷いてかけていたのですが、やはり段取りが増えれば増えるほど、つい億劫になってしまうのですね。
洗濯直後の衣類は脱水後で湿っていますので、霧吹きを使わずにかけられます。アイロン本体についている霧吹き機能が目詰まりしやすいので、これは大いに助かります。あとはそのまま吊るして乾かせばピンとしたシャツになります。

8.古本・寄付グッズの持ち込みは早めに
12月になるとどの家庭も大掃除に励み、その結果、古本やバザー用商品がどんと出てきます。年末に近づくほど、店頭も混みますので、なるべく早めに古書店などへ持ち込むようにしています。
なお、古書店は同じチェーン店でも立地場所によって引き取る本に若干の差があるようです。これはあくまでも私の経験ですが、学生や社会人が多いところは洋書の専門書にも値が付きました。一方、ファミリーの多い地域は絵本や実用書などが好まれるという印象です。

9.乾物・保存食・缶詰などの整理を年末までに
年末年始は何かと会食も増えて体重が気になるところ。このため我が家はあえて年の瀬にかけて乾物や保存食などローカロリー食品を意識してとるようにしています。乾物は確かに日持ちしますが、永久にというわけではないからです。何かと慌ただしい年末だからこそ、家にあるものを上手に使って出費を抑え、台所の棚の中も一掃して掃除までできれば理想的です。

10.一日一回、「おやっ?」というところを掃除する
自分では毎日見ているので風景の一部と化したものの、他人から見て「あ、汚れている」という部分は意外とあるものです。たとえば郵便受けの溝や自転車のかごなど、本人にとっては「ま、いっか~」となりがちな個所です。
一日一回、「意外な個所」を掃除していれば、365日たつとかなりの差が出てきます。「今日はどこを選ぼう?」と今まで盲点になっていたところを探すのもまた楽しいものです。

いかがでしたか?今回は10のヒントをご紹介しました。みなさまの日常生活に少しでもお役に立てば幸いです。

(2012年12月10日)

【今週の一冊】

「安岡正篤 心に残る言葉」藤尾秀昭著、致知出版社、2011年

東洋思想の普及と後進の育成に生涯をささげた安岡正篤氏。名前だけは知っていたが、それまで著作を読んだことがなかった。たまたま本書を贈られたことから、初めて触れられた次第である。

本書は安岡正篤氏を師と仰ぐ編集者・藤尾秀昭氏が、師の言葉を引用解説した作りになっている。オビには「人は何のために学ぶのか」とある。私自身、一生学びを続けたいと考えていることから、非常に惹かれる装丁であった。

安岡氏の言葉も印象深いが、藤尾氏が綴る一言一言にも重みがある。中でも以下が心に残った。

「常に、役割を果たした人間は次の人にバトンタッチして、冥界に移っていく。だから、バトンを受け継いで残された者は、自分の役割を精いっぱいはたして生きていかなければいけない。」

私たちは日々の暮らしを続けていると、つい目の前の些細なことに心をとらわれてしまう。「本当はああした方が良かったのではないか」「相手はどう思っているのだろう」という具合に、あれこれ想像しては一人不安に陥ってしまう。

けれども大切なのは、もっと長い目で物事を見ることなのだ。世間の雑音は確かに気になる。けれどもそれをいちいち不安に思ってしまうと、本来進むべき道へ歩み出せなくなる。自分の役割は何か、今、自分にはどのような強みがあり、それを社会に役立てられるのか。そうした大局観的な見方が必要だと思う。

安岡氏は「人物学」という言葉を生み出した。これは「我という人間を完成させていく」という意味だ。読書や勉強は、単に知識を吸収するためでは不十分であり、自分を高めるためにこそ行うべきだと説く。

「自分を創るのは利己のためではない。世のため人のために自分を役立てるためである。」

藤尾氏はこのように補足している。

本書は安岡氏の書物からだけでなく、高村光太郎や松下幸之助氏の作品からも引用がなされている。幅広く明言に巡り合えた、読み応えのある一冊であった。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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