INTERPRETATION

Vol.13 「創意工夫で広がる仕事」

ハイキャリア編集部

通訳者インタビュー

【プロフィール】
古谷浩子さん Hiroko Furuya
大妻女子短期大学英文学科卒業後、米国留学。United College of Business, Secretary Course終了。帰国後、米国系テーマパーク、半導体、飲料、通信などの企業にバイリンガルセクレタリーとして勤務。現在は、外資系通信企業の財務統轄本部に勤務。

Q. セクレタリーになったきっかけは?

物心ついた時から、アメリカに行くのが夢だったんです。大好きな叔父がアメリカに住んでおり、日本に来る度いろんな話をしてくれたんですよ。「いつか絶対アメリカに行こう!」と思っていて、夢が実現したのが短大卒業後、18歳の時です。短大時代のクラスメートは皆就職しているのに私だけ学生気分ということもあり、プレッシャーを感じていました。せっかくアメリカにいるんだから、何か仕事に役立つ資格を取ろう! と思い、セクレタリーの学校に通うことにしたんです。帰国後、人材バンクに登録したら、セクレタリーの学校に行っていたということで、仕事を紹介され、気がついたらずっとセクレタリーの仕事をしています。

Q. セクレタリーのおもしろさとは?

数年だとわからないかもしれませんが、上司と歯車が合って、ケンカもできるようになり、言いたいこともある程度言えるようになると、いい関係が築けるんです。相手のことも尊敬でき、人間として理解しあえる気がします。そうなると、仕事が良い方向に進みだし、面白くなってくるんです。もちろん嫌な事、頭にくる事もたくさんありますが、「1頼まれたら、10やってあげよう!」と思うと、上司との間に何とも言えない良い空気が流れるんですよ。もっとやってみよう、あれもやってみよう! という気になり、いろいろと工夫できるようになります。仕事の幅も広がり、色々な人達との出会いも生まれます。

Q. 具体的なお仕事内容について教えて頂けますか。

会社によっても違いますが、スケジュール管理、ファイリング、メールチェックから始まり、社外の人とのやりとり、会議設定、コーディネーターのような仕事と様々です。会社の立ち上げや、大きなプロジェクトに関わらせて頂いたこともあり、セクレタリーの枠を超えて、いろんな経験をさせて頂きました。地味な仕事だとは思いますが、自分から動こうと思えばいくらでも、自分次第でどんなことでもできる仕事だと思うんです。

Q. 特に印象に残ったお仕事はありますか。

大変という意味では、外資系飲料メーカーでの経験です。本社社長やエグゼクティブ一行の来日時には、私たちセクレタリーもホテルに4日間ぐらい監禁状態になり、明け方3時から仕事を始めます。本社側は自家用飛行機で来るので、私たちも管制塔とやりとりしながら車やヘリコプターの手配をします。ホテル内の飲み物を全てそのメーカーに統一したり、プレゼン資料の作成、パーティーの準備といった作業も必要になります。「ミスは許されない、成功も失敗も全て私達のコーディネート次第」と言われ続けたプレシャーの中、今から考えると、よくあそこまでやったなぁと思いますが、逆に、あそこまでやったんだ! という思いがあるので、何をやっても大変だとは感じないというか(笑)。
貴重な経験と言えば、東京ディズニーランド建設プロジェクトのメンバーとして最初から参加できた事です。非常にきびしい仕事でしたが、完成した時の喜びは今でも忘れられません。東京ディズニーシー建設プロジェクト発足時にも声をかけて頂き、スタートアップから完成まで、スタッフの一員として参加しました。この両プロジェクトの経験からは沢山のパワーをもらい、更なる自信を得る事ができました。私にとって生涯忘れられない貴重な経験です。

Q. セクレタリーとしての強みは?

今まで数々の仕事をこなしてきた事で、どんな環境でもやっていける勇気と自信があります。そこが私の強みかなと自負しています。

Q. 上司と性格が合わなかったこともありますか?

当然人間ですからあります。その為に分かり合える努力はします。あまりクヨクヨするタイプではないので、今までを振り返ってみると、いつのまにかどのボスとも二人三脚で楽しく仕事をしてきました。

Q. セクレタリーを目指している方へのメッセージをお願いします。

セクレタリーという仕事は、一朝一夕にできる仕事ではないと思うんです。どちらかというと陰の仕事で、我慢しないといけないこともたくさんあります。常に前向きに考え、周りが楽しく過ごせるよう配慮したり、仕事を頼みやすい雰囲気を作ったりと、自分で工夫することが重要です。そうすれば、周りも変わりますし、自分も変わると思います。
どの仕事も同じだと思いますが、コツコツ経験を積んでいくことが一番です。

Q. 今後のキャリアプランは?

会社の立ち上げをいくつか経験したことがあるので、そういったプロジェクトにまた関わっていければ最高です。私が尊敬してやまない叔父のように、輸出・輸入のような仕事もやってみたいなと思っています。

<編集後記>
秘書の鏡、と言っては語弊があるかもしれませんが、古谷さんが会社にいると、本当に雰囲気が良くなるだろうなと思わずにはいられませんでした。「周りとのコミュニケーション」、「仕事を頼みやすい雰囲気作り」、勉強させて頂きます!

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ハイキャリア編集部

テンナイン・コミュニケーション編集部です。
通訳、翻訳、英語教育に関する記事を幅広く発信していきます。

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