INTERPRETATION

第2回 G20サミットのトピック

グリーン裕美

国際舞台で役立つ知識・表現を学ぼう!

皆さん、こんにちは。1月も中旬に入りましたが、いかがお過ごしでしょうか。新年の抱負は1月の第3週目にギブアップする人が多いと聞いています。決意をするときはやる気に満ちているんだけど、だんだん日々の忙しさに紛れて気が付けば…ということはありがちですが(経験談/苦笑)、あと1週間がんばってみませんか?!

では、今回はG20サミットで取り扱われるトピックを紹介します。とはいうものの、G20大阪サミット2019の主要テーマはまだ準備中とのことですので、昨年の資料を参照します。

G20ブエノスアイレス2018でのテーマは、Building consensus for fair and sustainable development(公正で持続可能な発展のためのコンセンサスの構築)でした。

議論の柱は以下の4つが挙げられています。
1.the future of work(仕事の未来)
2.infrastructure for development(開発のためのインフラ)
3.a sustainable food future (持続可能な食料の未来)
4.a gender mainstreaming strategy (ジェンダーを主流化する戦略)

1の「仕事の未来」では、技術革新による新たな雇用機会や課題に加え、児童労働(child labour)、強制労働(forced labour)、人身売買(human trafficking)、現代の奴隷制(modern slavery)の撲滅(to eradicate)が含まれます。

2の「インフラ」は、経済成長(economic prosperity)、sustainable development(持続可能な開発)、inclusive growth(包摂的成長)の重要な促進力(key driver)。国際会議でよく聞く表現は単なる「インフラ」ではなく「quality infrastructure(質の高いインフラ)」。インフラは巨大な投資で、質の悪いインフラを設けてしまうと当初の工事費では節約できても事故につながる恐れもあるし、長い目で見れば修理にコストがかかり金銭的にも損をするかもしれません。また日本語では「インフラ」と省略されますが、英語ではinfraとは言わないので英訳の際はinfrastructureと長いけれどもきちんと言うようにしましょう。

環境問題でsustainableが頻出するのは皆さんよくご存じかと思いますが、inclusiveはいかがでしょう? include(含む)の形容詞形ですが、国際会議の文脈ではたいてい「包摂的な」と訳され、「誰も取り残さない」というような意味で使われます。例えば、inclusive growth(包摂的な成長)というと、一部の人たち(企業/支配階級)だけに恩恵がもたらされるような経済成長ではなく、すべての人々に利益が行き渡るような経済成長という意味です。

よく聞くsustainable/sustainabilityも、では定義は何?と言われると実は人や機関によって様々です。まずは温室効果ガス(greenhouse gas)の削減が思い浮かびますが、最近では気候変動関連から発展して人々の健康や幸福度(health and well-being)まで含めることもあるようです。

ジェンダー問題は日本も「女性が輝く社会(women’s empowerment and gender equality/ a society in which all women shine)」という政策が掲げられていますが、世界にはまだまだ女性差別や暴力が深刻な地域も多く残っています。労働参加率の性別格差(the gender gap in labour force participation rates)や理系の業界(STEM:Science, Technology, Engineering and Mathematics)ハイテク部門(high-tech sectors)への女性の参画が求められています。

以上、G20 ブエノスアイレス・サミットの資料より国際会議でよく出る表現を取り上げました。

まだまだ寒い日が続きますが、風邪などひかれませんようお気をつけてお過ごしください。

2019年1月14日

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記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。

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