INTERPRETATION

第13回 南アフリカの大統領選

グリーン裕美

国際舞台で役立つ知識・表現を学ぼう!

新しい時代、令和が始まりました。皆さまはどのように10連休をお過ごしになりましたか。

私は偶然ですが、南アフリカのサファリで通訳をしながら令和の初日の出を見ました。小学生のころは大の動物好き(今も!)で、いつの日かアフリカで野生の動物を目にすることを夢見ていたこと、そして中学に入り英語を習うようになってからは通訳者になることを夢見ていたことを思うと、この偶然が重なったことに感銘を受けました。そこで今回は南アフリカを取り上げたいと思います。

アフリカというと、日本からはずいぶん遠いところですが、今年は横浜で第7回アフリカ開発会議(TICAD 7)が開催されるのでアフリカの話題も増えるかと思います。そのアフリカの中で最も産業が発達した国、南アフリカと言えば、故ネルソン・マンデラ大統領やラグビー、美味しいワイン、光り輝く太陽などが思い浮かぶかと思います。多くの人種が融和して暮らしていくという意味で「虹の国(the rainbow nation)」とも呼ばれています。数年前は元パラリンピック選手オスカー・ピストリウスが話題になりました。また暗い歴史、アパルトヘイト政策も南アを語る上では避けることはできませんし、最近では汚職による政界の腐敗が問題視されています。

その南アフリカで今週、5月8日に大統領選挙が行われます。そのため英エコノミスト誌4月27日号では南アフリカの特集記事が掲載されました。

現政権の与党は、アフリカ民族会議the African National Congress (ANC)。アパルトヘイト(apartheid)政策廃止後に行われた1994年の選挙以来、ずっと政権についています(参照記事)。

”a better life for all (より良い生活を皆のために)” をスローガンと掲げていたものの、一党独裁が続いたため汚職(corruption)がはびこるようになり、2009年~2018年の間のJacob Zuma(ジェイコブ・ズマ)大統領時代の実際のスローガンは “a better life for the president and his cronies(より良い生活を大統領とその仲間たちのために)”と言ったほうが正確なのではないかとエコノミスト誌は揶揄しています(Corruption became so widespread under Jacob Zuma, South Africa’s atrocious president from 2009 to 2018, that a more accurate ANC slogan during his rule would have been “a better life for the president and his cronies”)。

けれども再選を目指す現大統領のシリル・ラマポーザ氏(Cyril Ramaphosa)は、反汚職を訴え、前政権が失った国民の信用を取り返し、経済を立て直すことを約束しており、英エコノミスト誌はラマポーザ氏のことを an honest reformer(誠実な改革派)であり、a tremendously skilful politician(非常に有能な政治家)と高く評価しています。

遠い国、南アフリカですが、次期大統領は数か月後に来日予定。TICAD 7はサミット以外にも関連イベントが多く開催されるので通訳者やバイリンガルスタッフの仕事のチャンスでもあります。皆さんが本コラムをお読みになるころには結果が出ているかと思います。衰退気味のANCがどれくらいの票を獲得できたかに注目です。

ところで出張先は典型的な統合型リゾート(IR)で、国際会議場、ホテル、商業施設、レストラン、映画館、ゴルフ場、アスレチック、カジノなどが揃っていました。朝食会場は半分屋外で、食事をしていると孔雀などの鳥がやってきたり、おサルやヒヒもうろうろしていたり、サファリまで行かなくてもかなり野生動物を見かけることがありました。そのようにほっこりすることが多い半面、温水は一日おきにしか出なかったり、出てもかなりにおいがきつかったり、部屋のライトも電球がなかったり、先進国での暮らしを当たり前に思ってはいけないなとハッとすることも多かったです。

来週も引き続き南アフリカ、今度は教育問題を取り上げます。

2019年5月3日

令和の初日の出

バルーンサファリ、気球に乗って空からサファリを楽しむこともできるそうです

間近でゾウさんが見れてラッキーでした!

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記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
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