INTERPRETATION

トレーニング

木内裕也

オリンピック通訳

オリンピックを含め、大きな大会中だからと言って、選手はトレーニングをせずに試合だけを考えるわけではありません。もちろん試合前にはトレーニングの負荷(Training load)を調整しますが、長丁場に渡る大会で選手や関係者と一緒に仕事をしていると、競技会で使われる用語だけを知っていても不十分なことがあります。

例えばトレーニグの負荷について。強度の高い日があれば、中程度の日もありますし、低いものあります。それぞれHigh intensity、Medium intensity、Low intensityと呼ばれます。日によっては耐久力・持久力(Endurance)を目的としたトレーニングをすることもあるでしょう。もしくは敏捷性(Agility)を目的としたトレーニングもあります。
自転車競技や、走る競技の場合には、Cadenceも測定されます。走る競技であれば、1分間に何回腕を振ったか(つまり何回足が回ったか)を測定します。水泳競技ではStrokeという言葉を使いますね。
また400メートルトラックを5周するときに(つまり合計2キロ)、1周を2分かけて10分で走るのと、最初の150メートルを30秒で走り、次の50メートルを30秒で歩くのを10回繰り返すのと、どちらが辛いでしょうか? 平均のペースはどちらも同じ。2キロを10分(1周2分)です。しかし後者の方が断然辛く感じられます。この要素を利用して、短時間でも負荷の高いトレーニングをインターバルトレーニング(Interval training)と呼びます。時にはHigh intensity interval trainingを略してHIITを呼ばれることも。

また選手の体力をチェックするときには俗にシャトルランと呼ばれるテストを行うこともあります。ただ色々な種類が実はあり、Beep testと呼ばれる物から、Yo-yo testと呼ばれるものも。Yo-yo intermittent recovery test IなどはYYIRTIなどと略されたりもしますから、選手たちがどんな体力測定を受けているのか事前に調べておくといいかもしれません。

最近はスポーツ科学(Sport science)の領域も非常に発展しています。最大心拍数(Maximum heart rate)を計算式で導き出したり、VO2maxを上記のYo-yo testなどで概算するのではなく、トレッドミルなどを使って計測することも多くあります。また、Skinfold testという方法で体脂肪率などを概算する方法もあります。Physical trainingやAthletic trainingを専門に大学や大学院で勉強して、選手と一緒に仕事をする人が増えています。スポーツのメディカルというと、どうしても怪我やドーピングを思い浮かべがちですが、実際にはこのようにトレーニングの段階で色々なプロがかかわっています。

トレーニング強度の強かった日に、It was a high lactic day.と選手が口にすることもあります。ここで言うLacticはLactic acidのこと。日本語だと乳酸です。スクワットや空気椅子を体育の授業で行った人もいるでしょう。太腿がプルプルと震えて来て、疲労が蓄積してきます。これは乳酸の蓄積です。「今日は乳酸がたまった!」という意味で、It was a high lactic day.と口にしているのです。

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木内裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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