INTERPRETATION

業務形態

木内裕也

オリンピック通訳

オリンピックを含め、スポーツのイベントで通訳をする場合、その業務形態は様々です。駆け出しの通訳者はアテンド通訳などをして、通訳業務だけではなく雑務も一緒に行ったりします。次第にキャリアを積むと、通訳業務の比重が増していきます。スポーツのイベントでは色々なレベルの通訳者がいますし、また動員される数も非常に多いですから、一概に通訳者や通訳ボランティアと言っても、その業務形態には大きな差があります。

スポーツイベントで通訳者の花形と言えば、公式の記者会見など、組織委員会などが行う公式のイベント。記者会見だけではなく、色々な打ち合わせや会合も含まれます。このような業務は、○月○日のXX時から、という風に事前にスケジュールが決まっています。それに合わせて、通訳者が手配されることが多いようです。つまり、「○月○日の14時から1時間の会見なので、半日案件です。それに前後して移動が含まれます。」といった案件。これは通常の会議における通訳業務と非常に似ています。しかし、通訳ボランティアや通訳者の全体数からしたら、このような形態の通訳者が必ずしも多いとは言えません。

場合によっては、放送局からの通訳依頼もあるでしょう。生中継をする時、一般に放送するための通訳です。その様な場合、試合終了後に業務が発生することが多いです。依頼としては、20時に試合が終わり、21時半位までには生中継のインタビューがあるはず、というもの。そうすると、18時にスタジオ入りして試合を実際にTV観戦し、スタンバイするということになります。やはり試合を観ないで通訳するのはリスクがあります。

また、試合会場や主要な交通機関の駅、選手村などに派遣される通訳者もいます。その様な場合、特に○○時からXX時が通訳、という形態であることは少ないです。逆に10時から18時までその会場にいて、必要に応じて業務を行います。もしかすると非常に忙しくて6時間も通訳業務があるかもしれませんし、1時間しかないかもしれません。臨機応変に対応することが求められます。私もボランティアで通訳をしたイベントなどでは、8時間どころか12時間位、1つの会場にいてお手伝いをしたこともあります。忙しい日もあれば、時間が経つのがとても遅く感じられる日もありました。会場付きの場合、時には複数競技に対応することもあります。例えば冬のオリンピックではフィギュアスケートとショートトラックが同じ会場、ということもありました。夏では陸上競技場を考えてみると、色々な競技が行われていますね。そうすると、1つの競技の知識だけ持てばよい、という訳ではなくなります。

また、交通機関の駅や観光地で業務をする場合には、通訳能力だけではなく、観光に関する知識が問われることもあります。

大きなイベントの時には本当に多くの語学要員が動員されますが、その業務形態はさまざまです。

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木内裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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