INTERPRETATION

お気に入りのフィットネスアプリから学ぶ

木内 裕也

オリンピック通訳

皆さんの中には、通訳として仕事や勉強をすると同時に、ジョギングや水泳など、色々な運動を楽しむのが趣味の方々も多いのではないでしょうか。もしくは日常の健康のためや、運動不足の解消のために、フィットネス関係のアプリやウエアラブルを着けているという人も多いと思います。オリンピック選手からは程遠い運動量だとはしても、多くのフィットネスアプリはプロ選手でも使えるような機能が含まれています。したがって、アプリで使われている用語だけでも、十分にスポーツ通訳の準備になります。

もちろんアプリやメーカーによって用語に差はありますが、日々のトレーニングを記録する機能はTraining historyやTraining diaryと呼ばれているでしょう。また、毎日の活動を記録するDaily activityのセクションもあるはずです。体にかかる負荷や、前回の記事で書いた疲労回復を考えると、トレーニング外の時間の過ごし方や、睡眠の質も重要です。したがって、日々のトレーニングの記録に加えて、1日をどう過ごしたかの記録もアスリートは取っています。もちろん、その中には私達も気にする燃焼したTotal calories(カロリー)やSteps(歩数)も含まれます。

Training diaryを見ると、多くの場合は行った(行う予定の)トレーニングが複数の視点から特徴づけられています。1つ目は最も明らかな、トレーニングのスポーツ。つまり、ジョギングであったり、クロストレーニングであったり、筋力トレーニング、コアトレーニングなど色々あるでしょう。実践的なトレーニングの日も多くあるはずです。2つ目は負荷。ジョギングと言っても、ペースなどの要素で負荷は変わります。インターバルを入れると、負荷は大きく上がります。したがって、負荷(Intensity)も重要な要素。High intensity(高負荷)、Medium intensity(中負荷)、Low intensity(低負荷)、Rest/Recovery(休養/回復)などの記述があるでしょう。

場合によっては、Altitude(高度)やElevation gain(獲得標高)も重要な要素。10キロを平野地で走るのと、山間部で走るのでは違います。最大標高差や平均斜度といった情報も含まれているかもしれません。

メーカーやアプリによってはCardio loadという機能もあります。これは心肺機能に対する負荷がどれくらいかかっているか。こんな風に、皆さんが使っているアプリなどを少し詳しく見て、どんな日本語や英語が使われているか学んでみるのもいいでしょう。スポーツ選手のインタビューであったり、コンディションチェックであったり、コーチや指導者の会議であったりという場面で、これらの知識が役立つこともあるはずです。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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