TRANSLATION

第58回 翻訳学校の賢い活用法

寺田 真理子

あなたを出版翻訳家にする7つの魔法

今回の連載では、翻訳学校の賢い活用法について考えていきましょう。

翻訳学校に通うべきか、悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。あるいは、長年通い続けていて、今後も通い続けるべきか、悩んでいるところかもしれません。

忘れてほしくないのは、翻訳学校に通うことは、あくまでも出版翻訳家になるための手段のひとつに過ぎないということです。通うこと自体が目的化しないようにしましょう。

出版翻訳家になるために、翻訳学校で何を得たいのか。それをはっきりさせたうえで、目的から逆算して翻訳学校の位置づけをしていくのです。

岸山きあらさんのように、翻訳学校を「技術を習得するところ」と割り切るのもひとつの考え方でしょう。勉強のペースメーカーとして活用していくのです。この場合、仕事の獲得についてはこの連載を参考に持ち込みをするなどして、自力で頑張っていくことが大切です。

「もっと翻訳学校を仕事につなげたい!」と思うなら、どんなサポート体制をとっている学校なのかを事前によく調べることです。プロを目指すレベルのコースでどんな先生が教えているのかを見て、「将来的に進級した際にどの先生につくのか」まで考えておくことです。その先生が出している翻訳書にしっかり目を通し、自分のやりたい方向性と合っているのか、翻訳のスタイルが自分の好みなのかを確認しましょう。そのうえで、「いちばん下のクラスから入っても、最終的にはここに行こう」と目標を定めましょう。

そこに最短距離で行くには、「伸びるプロセスを見せること」です。ぐんぐん力をつけていく生徒は、教える側からすればうれしいものですし、目にとまります。そもそも他の生徒は、「翻訳家になるにはどうしたらいいかよくわからないし、翻訳学校でも行ってみようかなあ」くらいの考えで来ているケースが大半でしょう。目的意識がはっきりしていれば、ここで大きな差がつきます。

順調に進級を重ねていけば、先生方の情報交換の際にも話題に上るかもしれません。よく名前を耳にする生徒なら、印象に残りますし、将来的に下訳などを頼まれる可能性も出てくるでしょう。

伸びるプロセスを見せるにはどうすればいいのか、ここでも逆算してください。課題も多く出るでしょうし、それをこなして高い評価を得るには、時間も確保しておかなくてはいけません。ではその時間をどうやって捻出するのか。そこまで考えて綿密な準備をすることです。

人柄や受講態度も、もちろん先生からは見られています。遅刻をしないことは大前提として、積極的に質問をするなど、やる気を見せるとともに、先生との人間関係をつくっていきましょう。ただし、しつこく質問をして先生の負担になるようでは逆効果ですので、配慮を忘れずに。要は、「この人にだったらぜひ仕事を頼みたいな」という人であり続けることです。

「そんな……いままで何にも考えずに通ってきちゃった!」というあなた、大丈夫です! 私の恩師の先生は、よくこうおっしゃっていました。

「いくつになっても、遅すぎることはありません。いまからだって『大間に合い』です」

そう、あなたも「大間に合い」なのです。いまから修正できることはたくさんあるはず。まずは時間をとって洗い出して、できることから手をつけていきましょう。これから変わっていくプロセスだって、ちゃんと見ていてもらえるのですから。

 

※この連載では、読者の方からのご質問やご相談にお答えしていきます。こちら(私の主宰する日本読書療法学会のお問い合わせ欄になります)からご連絡いただければ、個別にお答えしていくほか、個人情報を出さない形で連載の中でご紹介していきます。リクエストもあわせて受け付けています。

Written by

記事を書いた人

寺田 真理子

日本読書療法学会会長
パーソンセンタードケア研究会講師
日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー

長崎県出身。幼少時より南米諸国に滞在。東京大学法学部卒業。
多数の外資系企業での通訳を経て、現在は講演、執筆、翻訳活動。
出版翻訳家として認知症ケアの分野を中心に英語の専門書を多数出版するほか、スペイン語では絵本と小説も手がけている。日本読書療法学会を設立し、国際的に活動中。
ブログ:https://ameblo.jp/teradamariko/


『認知症の介護のために知っておきたい大切なこと~パーソンセンタードケア入門』(Bricolage)
『介護職のための実践!パーソンセンタードケア~認知症ケアの参考書』(筒井書房)
『リーダーのためのパーソンセンタードケア~認知症介護のチームづくり』(CLC)
『私の声が聞こえますか』(雲母書房)
『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』(クリエイツかもがわ)
『認知症を乗り越えて生きる』(クリエイツかもがわ)
『なにか、わたしにできることは?』(西村書店)
『虹色のコーラス』(西村書店)
『ありがとう 愛を!』(中央法規出版)

『うつの世界にさよならする100冊の本』(SBクリエイティブ)
『日日是幸日』(CLC)
『パーソンセンタードケア講座』(CLC)

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