TRANSLATION

Tradosとぼくと翻訳支援ツール

すみす

Tradosとぼくと東京タワー

みなさま、こんにちは。

本日は少し視野を広げて、翻訳支援ツール全般のお話をしていきたいと思います。

突然ですが、みなさまはどの翻訳支援ツールを使用されておりますでしょうか?Trados?memsource?memoQ?主要なところで言えばこの3種類当たりでしょうか?もちろんこの他にも多種多様な翻訳支援ツールが開発され、使用されています。翻訳者さんによっては2,3種類のソフトをクライアントによって使い分けているという方も少なくないのではないでしょうか。

特に近年は、どんどん新しいツール登場し、独自の翻訳支援ツールを構築している企業も見かけるようになりました。一つ覚えたらまた新しいツールが登場し、どんどん新しいことを覚えなければならないという状況が続いているような気がします。どの支援ツールも基本的な機能は似たりよったりです。TMによる過去訳の流用と用語ベースによる用語統一の2点をどのツールもメインの機能として据えています。ただ、ソフトごとに若干の思考方法の違いやUIの違いなどがあり、やはり新規ツールを触る際にはそれなりに覚えることが出てきます。

現在、弊社ではTradosとmemsourceの2種類をメインに使用しています。どちらも一長一短がありますが、私は使い慣れたTradosの方が作業がはかどります。memsourceを使っていると、ふとした瞬間にTradosでは使えたあの機能がmemsorceにはないのか、と気づくことがあります。

もちろん人によってはmemsorceの方が使いやすいという方がいたり、その他のツールの方が使いやすいという方もいることでしょう。以前、私が聞いた話ではTrados指定の案件をいただいたが、別のソフトに書き出して作業を行って、Tradosに再度入れなおして納品したという話がありました。各ツールのTMは独自の形式(例えば、Tradosの場合は.sdltm)で作成されますが、一応共通のフォーマットとして、TMXと呼ばれるファイル形式があります。基本的にはTMXを使用することで、各ツール間でメモリを共有することができ、別ソフトからの訳文以降も比較的容易に行うことができます。ただ、TMXで訳文を移行するとほとんどのセグメントのマッチ率が100%になってしまうため、オリジナルのTMではどの文節がヒットしていたのか確認できなくなってしまいます。そのため、先ほどの別ソフトで作業した翻訳者さんは一文ずつ訳文をコピーアンドペーストでTradosに入れなおしたそうです。

各翻訳支援ツールにはそれぞれ一長一短があるため、一つのツールにすべての機能をまとめることは難しいと思いますが、ツール間の移行作業をより容易にする統一フォーマットができないかささやかに期待するばかりです。

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すみす

埼玉大学大学院人文社会科学研究科を卒業後、翻訳コーディネーターとしてテンナイン・コミュニケーションに入社。大学院ではドイツ文学を専攻し、文献学の観点からカフカを研究。
現在は翻訳コーディネーターとしてTradosに悪戦苦闘中。
趣味はヨーロッパ作品を中心に読書と映画鑑賞。ときどきジャズと短歌。

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