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ケータイと携帯電話

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

 日本滞在4週間目を迎えています。最近、改めて、「言葉って生きているなあ」と実感しています。
 たとえば、「チデジ」という言葉を最初に耳にした時には、一瞬分かりませんでした。数年前に、「地上デジタル放送」が出てきたと思っていたら、今ではすっかり「地デジ」という日常用語になっていることにびっくりしました
 テクノロジー関係だけではありません。「メタボ」や「熱中症」なんかも、「浸透したなー」と驚かされる言葉です。「メタボリック症候群」が目新しい用語であった時期はとっくに過ぎて、今では「メタボになるよー」などと、普通に会話に織り込まれるようになっています。でも、6年前に私がNZに旅立つ前にはほとんど使われることがなかった言葉だと思います。熱中症にしても、もちろん意味は分かりますが、いまだになじめなくて、何かに熱中してしまった症例のような気がしてしまいます。
 あと、この日本滞在で気づいた新しい言葉遣いに、「ケータイ」があります。「携帯電話」の省略である「携帯」では意味が分かりにくいのに加えて、親しみを示すために、カタカタが使われるようになったのではないかと勝手に推測しています。
 そういえば、はるか10年以上前、私が初めて見た「携帯電話」は、一抱えもあるような黒くて重い本体と、ずっしりとした受話器という代物であったと記憶しています。それが今では、ごくごく当たり前のツールとして、小学生でさえ使うようになっていいます。まさに、十年一昔という実感がわいてきます。
 この商品のネーミングを機能が一目で分かる「携帯電話」としたことが、ここまで人々の生活に浸透した理由の一つである、というくだりをどこかで読んだことがあります。だれの文章だったか忘れてしまいましたが(マーケティング関係の書籍?)、もし「携帯電話」にまったく別の商品名が付いていたら、もしかしたらここまで発達しなかったかもしれない、ということでした。
 本当に、言葉というのは不思議な力を持って変化し続けるものだなあと、つくづく思います。
 

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記事を書いた人

みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

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