INTERPRETATION

第15回 自分の英語に自信を持つために

上谷覚志

忙しい人のためのビジネス英語道場

 明けましておめでとうございます。2013年が始まり1週間が経ちましたが、皆さんの年末年始はいかがでしたか?今年もやり直し英語について考えていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 年末に2012年の成果の振り返りを行ってくださいというお話をしました。その振り返りをベースに2013年の目標を立てて、すでに学習を始められた方も多いと思います。まだ始めていない方も焦る必要はありません。去年お話ししたSMARTゴールに従って、目標を立ててみてください。あまり細かく決める必要はありませんが、いつまでにどういうことができるようになりたいのか、そのための方法はどうするのか、見直しのタイミングをどのあたりにするのか位を決めれば十分だと思います。実際に進めながら、進捗を確認し、柔軟に微調整していってください。

 さて今回のトピックですが、「どうやって自分の英語に自信をつけるか」について考えてみたいと思います。英語を勉強する中で自信が付いたと思えるのはどういう場面でしょうか?例えばTOEICのスコアが上がったとか、英語でのプレゼンがうまく行ったとか、自分の英語が褒められた時でしょうか?プレゼンや英語を褒められるような機会は、多くの人にとってそんなにたくさんあるわけでもありませんし、TOEICスコアが上がる前までには通常はある程度の時間がかかります。自分だけで比較的短時間で、自信をつけることはできないのでしょうか?

 実はとても簡単な方法があります。これは英語だけに限ったことではありませんが、自分がこれまでできるとは考えてもみなかったことに挑戦して、それを達成することです。特に英語の場合、ある瞬間に”あれ?できるようになったかも”とbreakthroughを感じる瞬間があります。

 私も何度か経験しました。アメリカに渡って3か月ほどして、これまでアメリカ人の友達同士が話している話はほとんどわからず、途中で理解することに疲れてしまい、わかった振りをする生活でした。ある夜、またいつものようにアメリカ人の友達と3人で近所のピザ屋でピザを食べていた時のことです。いつもは耳を何かで覆っているような籠った音だった、彼らの会話が突然クリアに聞こえてきました。

 内容も全く問題なくわかるので、一瞬、日本語で話しているのではないかと思ったほどでした。残念ながら、これで全ての英語が聞き取れるようになるわけもなく、またわからない期間に突入していきました。このbreakthroughを経験できたのは、渡米後、できるだけアメリカ人とつるむようにして、わからないながらも必死で理解しようとした結果だったと思います。

 アメリカに行く前は、市販の音声を聞いて勉強はしてみましたが、1日聞けても1~2時間程度で、しかも毎日聞いていたわけではありませんでした。コツコツと勉強していたと言えばそうですが、今から思うと勉強としてはこれくらいでいいかという思いもあったと思います。教材の説明にも1日1時間程度と書いてあったので、それに従っているのだから問題はないだろうと思ったのです。

 アメリカに渡ってからは、起きた瞬間からルームメイトとの会話、その後は英語での授業、その後はアメリカ人の友人と会うという生活をしていましたので、1日16時間くらいは英語を聞いていたことになります。つまり日本にいたころと比べると1日あたり16倍の量をこなしていたことになります。それを3か月ほど続けた時点で、先ほどのbreakthroughが起こりました。

 日本で毎日16時間英語を聞くということは不可能だと思いますし、それをする必要もないと思います。毎日は無理でも、例えば週末や連休を英語漬け週末・連休として、朝起きてから寝るまでひたすら聞いてみるのはどうでしょうか?ただBGM的に流すのではなく、聞いて繰り返したり、DVDを見ながら時々セリフをまねしてみたり、ニュースを聞いてそれを口頭でまとめるとか、出来る限り聞く(input)だけではなく、口に出してみる(output)要素も入れながらしっかりと聞くことを2日、3日続けてみると、1日終わった時点で頭の中がオーバーヒートした感覚になり、かなり疲れるはずです。

 週に2~3回、1回1時間リスニングの勉強をしている人が3連休英語漬けをやったとすると、4か月分のリスニング量(48時間)を3日間でこなすことになりますし、もし毎週末英語漬けを1か月行ったら128時間聞くことになるので、10か月以上のリスニング量を一気にこなすことができます。

 これはあくまでも一例ですので、リスニング以外でもリーディングでもスピーキングでも何でも構いません。自分が普段やっている勉強のやり方では、到底できないようなことを一度やってみることで、それが自信につながると思います。単に自信だけではなく、通常のスピードの何倍もの力も付きます。

 伸び悩みを感じている方は、是非これまでやったことがないような勉強方法に、ちょっとチャレンジしてみてください。

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記事を書いた人

上谷覚志

大阪大学卒業後、オーストラリアのクイーンズランド大学通訳翻訳修士号とオーストラリア会議通訳者資格を同時に取得し帰国。その後IT、金融、TVショッピングの社での社内通訳を経て、現在フリーランス通訳としてIT,金融、法律を中心としたビジネス通訳として商談、セミナー等幅広い分野で活躍中。一方、予備校、通訳学校、大学でビジネス英語や通訳を20年以上教えてきのキャリアを持つ。2006 年にAccent on Communicationを設立し、通訳訓練法を使ったビジネス英語講座、TOEIC講座、通訳者養成講座を提供している。

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