INTERPRETATION

第14回 一年の総括

上谷覚志

忙しい人のためのビジネス英語道場

 今年も残すところ2週間ほどとなりました。皆さんにとって2012年はどのような一年でしたか?年初に、今年こそは英語をやり直そうと思った方も少なくなかったと思いますが、想定された目標を達成できましたか?または何となく”英語をやらないと”と思って勉強を始めた方もいると思いますが、この一年振り返ってみてどうでしたか?

 一年の中で、この時期ほど振り返りにふさわしい時期はないと思います。全てのことがあと2週間ほどで区切りを迎えるので、このタイミングで、これまでやってきたことを見直し、うまくいった点と行かなかった点を総括することが2013年にスムーズなスタートを切るうえで重要です。

 総括となると、どうしても一人反省会になってしまいがちで、「あー今年もダメだったな」で終わってしまいがちです。それでは、おそらく2013年の年末も同じことを呟いて翌年を迎えることになってしまいますので、うまくいった点と行かなかった点に一喜一憂することなく客観的に振り返ってみましょう。

 そのためにもこの一年何にどう取り組んだのかを書き出してみるといいと思います。以前SMARTゴールを立てるというお話をしましたが、覚えていますか?

Specific 具体的な

Measurable 数値目標化されている

Achievable 達成可能な

Realistic 現実的な

Time-specific 期限を決めた

この5つのポイントに沿って、後でその達成度を測ることができる具体的な目標を設定する話をしました。もし皆さんがゴールのSMART化をしていたら、すでに書き出した目標があるはずですから、その目標に対して、どういう勉強方法をどれくらい行ったのかをざっくり書き出してみてください。かけた時間と得られた成果を比較して、来年も続けるべきか、やめるべきかを判断していきます。

 成果がなかった→来年はやらないというような単純な判断で終わるのではなく、そもそもその勉強方法を試してみようと思った根拠があったはずなので、その根拠が正しかったのか、やり方や時間のかけ方が適切だったのかを考えてみてください。多くの場合、ちょっとやり方が違っているとか、時間のかけ方が足りない(多すぎの)だけで、成果に大きな影響が出ます。

 もしSMARTゴールを設定していないまたはどういう勉強をどれくらいやったのかを記録していない方は、来年はSMARTゴール設定と勉強法や勉強時間を記録してみてください。何となくやってみる、その場その場でできることをやってみるというのは、何もやらないよりはいいですが、継続的に成果を出していくためには、ざっくりでいいので記録を残しておくことが重要です。記録がない場合でも、思い出せる限り書き出してみて総括してみてください。

 もう一つ重要な点は良かったところをしっかりと確認するということです。1年頑張ってきた人であれば、うまく行ったところ、伸びたところも必ずあるはずです。総括というとどうしても反省の部分に重きが置かれ、良かった点を評価することが少ないように思います。

 真面目な人であれば、改善を図るためにできなかったところを中心に反省しますが、良かったところを継続していく時にも、来年はさらに改善していく余地はあるはずですし、何よりも自分が頑張ったことに対して自分を褒めるということは来年以降頑張っていくために絶対に必要なことです。

 新年にその年の目標を立て、今年以上の成果を上げていくために、まずは今年の目標設定がどうたったのか、そしてその目標を達成するためのプロセス(勉強のやり方・時間の使い方)は適切だったのかを総括しない限り、来年の目標を立てることはできません。

 折角の機会ですから、一度立ち止まり今年の自分の成果を振り返ってみてください。

 来年も引き続きこのコラムの中で英語のやり直しについて考えていきたいと思いますので、来年もよろしくお願いします。

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記事を書いた人

上谷覚志

大阪大学卒業後、オーストラリアのクイーンズランド大学通訳翻訳修士号とオーストラリア会議通訳者資格を同時に取得し帰国。その後IT、金融、TVショッピングの社での社内通訳を経て、現在フリーランス通訳としてIT,金融、法律を中心としたビジネス通訳として商談、セミナー等幅広い分野で活躍中。一方、予備校、通訳学校、大学でビジネス英語や通訳を20年以上教えてきのキャリアを持つ。2006 年にAccent on Communicationを設立し、通訳訓練法を使ったビジネス英語講座、TOEIC講座、通訳者養成講座を提供している。

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