INTERPRETATION

第3回 グローバル・コミュニケーション・スキル

原不二子

Training Global Communicators

今、一番いいことをしよう

今 一番いいことをしよう
  将来に不安や心配事があっても
将来がやってきたら
  そのとき
     一番いいことをすればいい
あのとき
   『ああすればよかった』と
           思うことはやめよう
あのとき
  一番いいと思ってやったのだから・・・

昭和59年4月17日
          山崎 房一」

 書類を整理していたら、この句が書かれたはがきが出てきました。昭和59年と言えば25年前(1984年)です。ちょうど女性のエンパワーメントの必要性が盛んに指摘されていた時代でした。私自身は通訳者としての経験を積んできた時期でもあり、後輩を育てたいという気持ちも強くなってきた頃です。「異文化間コミュニケーションの橋渡しをする人を育て、それぞれの能力にあった仕事を提供しよう」と、教育と仕事の提供という2つの目的を掲げ、1年後に株式会社ディプロマットを設立した経緯があります。あのとき「一番いい」と思ったことをしたのです。通訳の仕事は、あくまで補助的な役割が強く、「サービス精神」をとれば、それは眼の欠けた龍のようなものだと思います。「心」の入った通訳ができる通訳者を養成したい。通訳とは「人を生かして自分も活かされる」仕事なのです。

2011年1月14日記  原 不二子

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原不二子

上智大学外国語学部国際関係史研究科博士課程修了。 祖父は「憲政の父」と呼ばれた尾崎行雄、母は「難民を助ける会」会長の相馬雪香。母の薫陶により幼い頃からバイリンガルで育ち、21歳の時MRAスイス大会で同時通訳デビュー。G7サミット、アフガニスタン復興会議、世界水フォーラムなど数多くの国際会議を担当。AIIC(国際会議通訳者協会)認定通訳者で、スイスで開催される世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)、ILO総会の通訳を務め、最近では、名古屋における生物多様性(COP/MOP)会議、APEC女性リーダー会議、アジア太平洋諸国参謀総長会議、ユニバーサル・デザイン(IAUD)会議、野村生涯教育センター国際フォーラム等の通訳を務めている。

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