INTERPRETATION

第151回 「途中で放棄する、中途半端でやめる」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

drop the ball (途中で放棄する、中途半端でやめる)

Since you wanted to complete your PhD, don’t drop the ball now. Otherwise, you would regret it.

(博士号を終えようと思っているなら、途中で放棄してはいけないよ。さもないと後悔するから。)

drop the ballはアメリカで主に使われる略式表現です。「途中で放棄する、中途半端でやめる」の他に、「へまをする」という意味もあります。もとは野球から来たフレーズで、試合中にボールを落としてしまう様子から生まれています。

野球から誕生した表現は他にもあります。ballpark(野球場)を使った表現にはballpark figure (概算)がありますし、ball game(野球)も、This is a different ball game(これはまた話が別だ)といったフレーズも存在します。そういえば日本でも相撲関連の言葉がありますよね。「序の口」や「がちんこ勝負」などがその一例です。

ballは12世紀ごろに誕生した語で、この時期の英語は言語学的に言うと「中英語」です。フランス語でボールはballe、ドイツ語ではBallとなり、英語と似ているのがわかります。ちなみにサッカーの年間最優秀選手に贈られる名誉ある「バロンドール」はBallon d’Or(黄金の球)という綴りで、フランス語です。

辞書の注意書きを見たところ、baseball, basketball, golfballなどは一語ですが、テニスだけはtennis ballと2語になります。こうしたちょっとした注意点も学習者向け辞典の解説ならではですよね。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。 上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。 ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。 ESAC(イーザック)英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。 通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。

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