INTERPRETATION

第21回  議長国って?

グリーン裕美

国際舞台で役立つ知識・表現を学ぼう!

皆さん、こんにちは。先週はG20 サミットが開催されましたが、日本が議長国ということでご活躍なさった方も多いことでしょう。また大阪在住の方は色々と影響もあったようですが、無事終了して何よりです。

ところで議長国ってどんな役割があるのでしょう? なんとなく分かっているようでもちょっとモヤモヤしている語の一つではないでしょうか。そこで今週は「議長国」について取り上げたいと思います。

・議長国の役割とは?
準備段階では国際情勢を踏まえて議題を決め、会議中は議長として議論を主導するという役割があります。そして会議の内容を取りまとめて世界に発信することが求められます。G20やG7では、サミット(首脳会談)を含む、関連会議の開催国となり、任期は1年です。

一方、EU(欧州連合)では任期6カ月の輪番制(the six-month rotating presidency)となっています。7月1日付でフィンランドが議長となりました(今年の前半はルーマニアが担当)。またEUの場合は、議長国がどこであるかにかかわらずサミットなどの公式会議はふつうブリュッセルやルクセンブルグで開かれます。ただし非公式閣僚会合など一部の会議は議長国でも開催されます。

・「議長国」を英語で言うと?
英語の表現ではよくpresidencyが使われますが、それを「議長国」の訳語としてそのまま使えないので要注意です。というのもpresidencyとは、「議長国」ではなく「議長職」の意だからです。
ですから「2019年7月1日からフィンランドがEU理事会の議長国となります」は
✕Finland will be the presidency
ではなく
〇Finland will hold the presidency of the EU Council from the 1st of July 2019.
と動詞holdを使います。

・「G20の議長国である日本」を英語で言うと?
G20やG7の場合は、「開催国」でもあり、「会議の進行役・議長役」を担当するためhostやchairも使われます。a hosting countryやa chairing countryを「議長国」の訳語として使うことができます。またhostもchairも動詞としても名詞としても使えます。
→G20 host/chair Japan, Japan as a hosting/chairing country
「日本は今年G20の議長国です」
Japan hosts/chairs G20 this year.
Japan hold the presidency of G20 this year.

以上、G20サミットの開催とEU議長国の交代の時期に合わせて「議長国」を取り上げました。ちなみに今年のG7の開催国はフランスです(France holds the presidency of G7 this year)。サミットは8月24日~26日に予定されているのでイギリスの新しい首相の国際デビューの場となりそうですね。

2019年7月1日

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記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
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