INTERPRETATION

第54回 社内通訳とフリーランス通訳-その2

寺田 真理子

マリコがゆく

社内通訳のいいところ、まだまだあるので見ていきましょう。

まず、いろいろなスタイルの通訳ができます。1対1のミーティングや、5人くらいのチームミーティング、30人くらいの部門ミーティング。100人規模のプレゼンなどなど。人数のバリエーションも多いし、パーソナルな事柄や人事、マネジメントなど、内容も多岐に渡ります。

通訳をする相手がだいたい決まっているのも、「ああ、またこいつか」とうんざりします・・・もとい、「またご一緒できる」という安心感があります。1回きりのお仕事の場合は失敗したらそれまでですが、社内通訳なら次に頑張って信用回復できます。リベンジのチャンスがあるんですよね。慣れたお客さまが相手だと余計な緊張もしないで済むので、のびのびとやれますし。

社内の人間関係がわかってくれば、資料を誰からもらえばいいのかもわかって助かります。資料がないのは恐怖ですからね。「この人に言えばきっと手に入る」という安心感は大きいです。くれなかったり、しますけど・・・。

シニアマネジメントレベルの人と仕事ができるのも大きなメリットです。一社員だったら、なかなかそういう機会はないでしょうから。重要な話し合いの場に立ち会えるし、そういう人たちのものの見方、考え方に触れることができる)んですよね。ロジカルシンキングの練習です。ただし、絶対マネしちゃいけないような見本も、ゴロゴロいるので要注意!

方向音痴にとっては、決まったところに毎日行けばいいのもありがたいです!まあ、なかには移動しまくりの出張しまくりで、全然このメリットを感じない会社もあったりはしますけどね。

そして、方向音痴の上に数字音痴のわたしにとっては、確定申告の面倒がないのも助かります。フリーであちこちからお仕事をいただいていると、書類の管理だけで大変です。確定申告の時期は、領収書や支払調書を前に泣きそうになります・・・。他にも、社内通訳にはこんなウラの楽しみがあります。

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記事を書いた人

寺田 真理子

日本読書療法学会会長
パーソンセンタードケア研究会講師
日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー

長崎県出身。幼少時より南米諸国に滞在。東京大学法学部卒業。
多数の外資系企業での通訳を経て、現在は講演、執筆、翻訳活動。
出版翻訳家として認知症ケアの分野を中心に英語の専門書を多数出版するほか、スペイン語では絵本と小説も手がけている。日本読書療法学会を設立し、国際的に活動中。
ブログ:https://ameblo.jp/teradamariko/


『認知症の介護のために知っておきたい大切なこと~パーソンセンタードケア入門』(Bricolage)
『介護職のための実践!パーソンセンタードケア~認知症ケアの参考書』(筒井書房)
『リーダーのためのパーソンセンタードケア~認知症介護のチームづくり』(CLC)
『私の声が聞こえますか』(雲母書房)
『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』(クリエイツかもがわ)
『認知症を乗り越えて生きる』(クリエイツかもがわ)
『なにか、わたしにできることは?』(西村書店)
『虹色のコーラス』(西村書店)
『ありがとう 愛を!』(中央法規出版)

『うつの世界にさよならする100冊の本』(SBクリエイティブ)
『日日是幸日』(CLC)
『パーソンセンタードケア講座』(CLC)

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