INTERPRETATION

第64回 通訳は顎関節症

寺田 真理子

マリコがゆく

油断すると、きます!
このアゴの痛さは…顎関節症。

最初は、何が起こっているのかわからなかったんです。やたらにひどい頭痛と歯の痛みに襲われて、仕事にならなくて困りました。
「なんだ、なんだ?この痛みは一体…親知らずか!?」
親知らずを3本抜いたことのあるマリコ。「おお!遂にラスト1本が!」と歯医者さんに直行。
「いや、そこの親知らずは、もう抜いてありますよ」
ええ?じゃあ、この痛みは何なの?
「もしかして…歯、食いしばってませんか?」
え?食いしばり?

そう言われてみれば…。ミーティングのときの自分を思い出してみると。
「何でこんなしょうもない話が続くの!?」
「こんなバカなことを訳さなきゃいけないの!?」
訳しながらも、「怒髪天をつく」を絵に描いたような形相のわたし。
食いしばってました、食いしばってました!!もう、力いっぱい!

そう。通訳のおかげで、顎関節症になってしまったのでありました。痛いんです、これが。いや、まっとうなミーティングだったらそんなに歯を食いしばることもなかったんでしょうが…。

顎関節症も、ひどい場合は口が開かなくなったりするそうなので、通訳者は要注意です!お仕事できなくなっちゃいますからね!
口が開かなくなるほどひどくはなかったんですが、口を開ける度に、ものすごい痛みに襲われるんですよね。こうなると、仕事は苦行です。

結局どうしたかといいますと…。即効性のある解決策があるわけじゃないので、気長に治しました。「しばらくしゃべらないで過ごすのがいい」と言われても、それじゃ仕事にならないですからね。

歯形に合わせて作ったマウスピースをはめて寝ていました。寝ているときにもミーティングの夢を見て食いしばっていましたから。朝になるとカポッと外すんですが、これって、かなりセルフイメージダウンです…。あとは、整体に通って、なるべく無理をしないで過ごすようにし、なんとか回復しました。

でも、ハードな仕事が続くと、いまだに顎にいや~な予感が走ります…。
用心、用心!

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Written by

記事を書いた人

寺田 真理子

日本読書療法学会会長
パーソンセンタードケア研究会講師
日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー

長崎県出身。幼少時より南米諸国に滞在。東京大学法学部卒業。
多数の外資系企業での通訳を経て、現在は講演、執筆、翻訳活動。
出版翻訳家として認知症ケアの分野を中心に英語の専門書を多数出版するほか、スペイン語では絵本と小説も手がけている。日本読書療法学会を設立し、国際的に活動中。
ブログ:https://ameblo.jp/teradamariko/


『認知症の介護のために知っておきたい大切なこと~パーソンセンタードケア入門』(Bricolage)
『介護職のための実践!パーソンセンタードケア~認知症ケアの参考書』(筒井書房)
『リーダーのためのパーソンセンタードケア~認知症介護のチームづくり』(CLC)
『私の声が聞こえますか』(雲母書房)
『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』(クリエイツかもがわ)
『認知症を乗り越えて生きる』(クリエイツかもがわ)
『なにか、わたしにできることは?』(西村書店)
『虹色のコーラス』(西村書店)
『ありがとう 愛を!』(中央法規出版)

『うつの世界にさよならする100冊の本』(SBクリエイティブ)
『日日是幸日』(CLC)
『パーソンセンタードケア講座』(CLC)

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