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第2回 そもそも論~どうして出版翻訳家になりたいの?

寺田真理子

あなたを出版翻訳家にする7つの魔法

まずは、「そもそも論」からしておきましょう。この質問に答えてくださいね。

「あなたは、どうして出版翻訳家になりたいの?」

たとえば、「自分が翻訳したい原書が具体的にある」ということなら、それをどうやって出版につなげていくか、現実的に考えていくことができます。

あるいは「語学が好きだから語学を活かした仕事につきたい」ということなら、出版翻訳でなくても、映像翻訳や産業翻訳、もしくは通訳など他にもいろいろな選択肢があります。なぜ出版翻訳なのかを考えてみることで、自分のやりたいことが明確になるでしょう。

または「本が好きなので自分の名前の載った本を出したい」ということなら、翻訳よりも出版に惹かれているということになります。それなら、自分でも気づいていないけれど、翻訳ではなく自分の本を出したいという願望があるのかもしれません。

中には漠然と憧れている人もいるでしょう。それなら、翻訳の勉強よりもまず先にするべきことは、いったい何に憧れているのかを探ることです。

本を出すことで世の中に認められたいという動機もあるかもしれません。「そんな動機は不純だ」なんて否定するつもりはありませんし、その気持ちをバネにがんばれるのならいいと思います。ただ、「自分は世の中に認められていないと感じているんだな。だからこうして認められたいんだな」と自分の承認欲求に気づいておくことが大切です。あなたが本当に求めているのは、出版翻訳家になることではなく、人に認めてもらうこと。出版翻訳家は、そのためのひとつの手段なのでしょう。だけど手段にするには、なかなかに大変なことです。どうして承認欲求が満たされていないのか、そこに向き合うことのほうが、あなたにとってはきっと大事な問題のはずですよ。

たまにですが、「印税でもうけたいんです!」という人もいます(笑)。たしかに、手がけた本がヒットして結果的にお金もうけにつながることはあります。だけど一冊の本を世の中に送り出すというのは、本当に心身ともに消耗するものです。「もう、私、発狂しちゃうんじゃないかしら!?」というくらい追い込まれることもあります。お金もうけをモチベーションにして乗り切れる仕事ではないと思います。もっと手っ取り早い方法はきっとたくさんあるでしょう(笑)

さて、あなたはどのタイプに当てはまりましたか?

「あなたは、どうして出版翻訳家になりたいの?」

この質問の答えを、次回の連載までにぜひゆっくり考えてみてください。

Written by

記事を書いた人

寺田真理子

日本読書療法学会会長
パーソンセンタードケア研究会講師
日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー

長崎県出身。幼少時より南米諸国に滞在。東京大学法学部卒業。
多数の外資系企業での通訳を経て、現在は講演、執筆、翻訳活動。
出版翻訳家として認知症ケアの分野を中心に英語の専門書を多数出版するほか、スペイン語では絵本と小説も手がけている。日本読書療法学会を設立し、国際的に活動中。
ブログ:https://ameblo.jp/teradamariko/


『認知症の介護のために知っておきたい大切なこと~パーソンセンタードケア入門』(Bricolage)
『介護職のための実践!パーソンセンタードケア~認知症ケアの参考書』(筒井書房)
『リーダーのためのパーソンセンタードケア~認知症介護のチームづくり』(CLC)
『私の声が聞こえますか』(雲母書房)
『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』(クリエイツかもがわ)
『認知症を乗り越えて生きる』(クリエイツかもがわ)
『なにか、わたしにできることは?』(西村書店)
『虹色のコーラス』(西村書店)
『ありがとう 愛を!』(中央法規出版)

『うつの世界にさよならする100冊の本』(SBクリエイティブ)
『日日是幸日』(CLC)
『パーソンセンタードケア講座』(CLC)

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