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第3回 憧れを力に~どんな出版翻訳家になりたいの?

寺田真理子

あなたを出版翻訳家にする7つの魔法

どうして出版翻訳家になりたいのか、自分なりの理由が見つかりましたか?

そこで、もうひとつ質問です。

「あなたは、どんな出版翻訳家になりたいの?」

この質問に答えることは、「出版翻訳家」という言葉であなたが思い描くイメージを明確にすることでもあります。

「出版翻訳家」とひと言でいっても、その在り方は様々です。古典的な文学作品を長年かけて完成させる人、海外で話題の小説家の新作を次々に日本に紹介する人、注目される実業家の自己啓発書を手がける人、スポーツや音楽など特定の分野の専門書を訳す人、日本でも人気の児童書を手がける人……。あなたが思い描く「出版翻訳家」はどんな人でしょう?

「出版翻訳家」という仕事との関わり方も、また多様です。毎日自宅で朝から晩までひたすら翻訳し続ける働き方もあれば、大学で文学を教えながら翻訳を続ける、翻訳している分野に関する執筆も手がける、好きな作家の本を翻訳しながら来日の際に通訳も務める、という具合に……。

私の場合は、認知症ケアの分野での出版翻訳を機に、その内容について全国各地で講演をしたり、執筆をしたりと活動の幅が広がりました。出版翻訳をすることで、それを軸にキャリア展開の可能性は大きく広がります。「本を出していること」で生まれる信頼は、やはり大きいのです。

もちろん、「講演なんて人前で話すのはいやだし、家で翻訳だけしていたい」という人もいるでしょう。だけど「自分の可能性を試してみたい」という人には、きっと貴重なチャンスを与えてくれます。

「これが正解」というものがあるわけではありません。どんな出版翻訳家になって、どういうふうにその仕事と関わっていくのか。あなたにとって、いちばんしっくりくるスタイルを選べばいいのです。

もしかしたら、いまは、一冊の本を出すことまでしか考えられないかもしれません。それすら遠い夢のように思えるかもしれません。だけどその一冊を出したとき、確実にあなたの世界は広がります。せっかくなら、その先のキャリアも楽しみながら思い描いてみてください。出版翻訳家という仕事を通して、あなたという素材をどのように世の中に提供していくのか、ワクワクと想像してみてほしいのです。

そして、なりたいイメージを明確にしておくこと。「勉強しているのにうまくいかない」と思い悩む時間は、かえってあなたを夢から遠ざけてしまいます。だからその時間は、うれしい未来を鮮やかに思い描くことに使いましょう。憧れを強く持つほうが、きっと早く夢に近づけるはずですよ。

次回は、その夢の入り口を一緒に探していきましょう。

Written by

記事を書いた人

寺田真理子

日本読書療法学会会長
パーソンセンタードケア研究会講師
日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー

長崎県出身。幼少時より南米諸国に滞在。東京大学法学部卒業。
多数の外資系企業での通訳を経て、現在は講演、執筆、翻訳活動。
出版翻訳家として認知症ケアの分野を中心に英語の専門書を多数出版するほか、スペイン語では絵本と小説も手がけている。日本読書療法学会を設立し、国際的に活動中。
ブログ:https://ameblo.jp/teradamariko/


『認知症の介護のために知っておきたい大切なこと~パーソンセンタードケア入門』(Bricolage)
『介護職のための実践!パーソンセンタードケア~認知症ケアの参考書』(筒井書房)
『リーダーのためのパーソンセンタードケア~認知症介護のチームづくり』(CLC)
『私の声が聞こえますか』(雲母書房)
『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』(クリエイツかもがわ)
『認知症を乗り越えて生きる』(クリエイツかもがわ)
『なにか、わたしにできることは?』(西村書店)
『虹色のコーラス』(西村書店)
『ありがとう 愛を!』(中央法規出版)

『うつの世界にさよならする100冊の本』(SBクリエイティブ)
『日日是幸日』(CLC)
『パーソンセンタードケア講座』(CLC)

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