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第5回 「学校に通うこと」の落とし穴

寺田真理子

あなたを出版翻訳家にする7つの魔法

学校に通うことには、落とし穴があります。

学校の授業は、きびしいものです。通訳学校では、筆記テストや通訳パフォーマンスが悪いと、「脳みそないんじゃないの!?」「そんなんだったら帰りなさい!!」と罵倒されることも度々。人間性自体を否定されるようで、通うほどに自信をなくしていきました。

翻訳学校でもこれほどきびしいかはわかりませんが、罵倒までされずとも、多くの課題があり、ダメ出しをされるなかで、「自分はできないんだ」「自分はダメなんだ」と落ち込んでしまうことはあるでしょう。すると暗いオーラをまとってしまい、「仕事をお願いしたい人」ではなくなってしまうのです。

そう、これが落とし穴です!

通訳学校時代、印象に残ったクラスメイトがいます。同時通訳クラスに進級して、初回の自己紹介でのこと。彼女は、「私は2年もこのクラスにいるのに、いまだに進級できなくて……」とうつむいていました。そのクラスに在籍している時点で、実力はあるはずです。通訳として仕事をすれば、きっとある程度こなせるはずなのです。それなのに、「2年も進級できないダメな自分」というセルフイメージを持っていました。そしてまさにそのことが、通訳になる夢から彼女を遠ざけてしまっていたのです。

あなたがもし、「チャンス」や「仕事」の立場だったら、どうでしょう? 同じ実力の二人がいたら、「やったことないけど、できそう! がんばってみる!」という人と、「自信ないし、だめかも……」という人と、どちらに行きたいか、答えは明らかですよね。

そもそも、チャンスも仕事も、人が持ってきてくれるもの。暗くうつむいて、自分がいかにダメかを嘆いていたら、人が寄りつかなくなってしまいます。

出版翻訳家になりたいあなたは、これまで成績がよく、叱られた経験も少ないのではないでしょうか。それだけに、自分がまわりに比べてできない状況に置かれることや、ダメ出しをされることに弱いかもしれません。

だから、学校に通う場合には、自分のメンタル面をきちんとケアすること。学校がすべてにならないよう、自分なりに適度な距離感を保ってください。本来の目的を見据えながら、あなたのためになるように上手に活用してほしいのです。そして「仕事をお願いしたい人」として、チャンスが来たときにしっかり受け止められるあなたでいてくださいね。

それでは、次回から、いよいよ「7つの魔法」をお伝えします!

Written by

記事を書いた人

寺田真理子

日本読書療法学会会長
パーソンセンタードケア研究会講師
日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー

長崎県出身。幼少時より南米諸国に滞在。東京大学法学部卒業。
多数の外資系企業での通訳を経て、現在は講演、執筆、翻訳活動。
出版翻訳家として認知症ケアの分野を中心に英語の専門書を多数出版するほか、スペイン語では絵本と小説も手がけている。日本読書療法学会を設立し、国際的に活動中。
ブログ:https://ameblo.jp/teradamariko/


『認知症の介護のために知っておきたい大切なこと~パーソンセンタードケア入門』(Bricolage)
『介護職のための実践!パーソンセンタードケア~認知症ケアの参考書』(筒井書房)
『リーダーのためのパーソンセンタードケア~認知症介護のチームづくり』(CLC)
『私の声が聞こえますか』(雲母書房)
『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』(クリエイツかもがわ)
『認知症を乗り越えて生きる』(クリエイツかもがわ)
『なにか、わたしにできることは?』(西村書店)
『虹色のコーラス』(西村書店)
『ありがとう 愛を!』(中央法規出版)

『うつの世界にさよならする100冊の本』(SBクリエイティブ)
『日日是幸日』(CLC)
『パーソンセンタードケア講座』(CLC)

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