TRANSLATION

第18回 何をどうアピールすればいいの?

寺田真理子

あなたを出版翻訳家にする7つの魔法

前回の連載で、「あなたに翻訳を頼むのがふさわしいと思ってもらえるようなプロフィールをつくりましょう」とお伝えしました。そのために、あなたの経歴をもう一度見直してみてください。単なる履歴書のようなプロフィールは求められていません。その本にふさわしい実績や専門知識を持っていることをアピールしてほしいのです。

料理の本であれば、調理師免許などの資格を持っていることも関係してきます。そこまでではなくても、「料理が大好きで料理関係の本を100冊は持っている」というならそれもアピールになるでしょう。

「自分には記入できるようなことは何もない」と思ってしまうかもしれません。だけどその原書を選んだということは、あなたのこれまでの人生の中に、その原書に関係する要素が必ずあるはずなんです。それをていねいに探してみてください。そして実績として捉えなおしてみてください。

心理的な理由も大きなアピールになります。料理の本を選んだのが「単に料理が好きだから」というだけなら、同じ理由の人は多くいるでしょうから、アピールとしては弱いです。だけど「大きな病気を経験した際に食事の見直しをして、そこから料理にすごく興味を持って、色々と気を遣って料理をするようになって病気を克服できた」というなら、強くアピールできます。

また、「幼少期に海外に住んでいて、なかなか現地の人たちに溶け込めなかったけれど、あるホームパーティーに招かれて、そこでの料理がすごくおいしかった。そのときにはじめてその国に受け容れてもらえた気がした。だから自分も料理を通してほかの国との懸け橋になりたい」という思いをもって取り組んでいれば、これも強力なアピールになります。こういう心理的な理由もていねいに探ってみてください。

真面目な方や、自己評価の低い方は、たとえば10あるうちすでに5はできているのに「自分には1しかない」と思って1しか表現しないことがあります。だけど世の中には、同じように5なのに、それを10あるかのようにアピールする方もいます。

5あるのに1しかないと思ってしまう、その奥ゆかしさは人間的な魅力ではありますが、アピールが必要な場で遠慮がちな行動のせいでみすみすチャンスを逃してしまうのは、とてももったいないことです。そういうタイプの方は、「これでは自分の経歴はかなり“盛ってる”のでは?」と思うくらいが、きっと客観的には正しい自己評価なのでしょう。

謙遜しすぎることなく、あなたの持っているものを最大限にアピールしてくださいね。

Written by

記事を書いた人

寺田真理子

日本読書療法学会会長
パーソンセンタードケア研究会講師
日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー

長崎県出身。幼少時より南米諸国に滞在。東京大学法学部卒業。
多数の外資系企業での通訳を経て、現在は講演、執筆、翻訳活動。
出版翻訳家として認知症ケアの分野を中心に英語の専門書を多数出版するほか、スペイン語では絵本と小説も手がけている。日本読書療法学会を設立し、国際的に活動中。
ブログ:https://ameblo.jp/teradamariko/


『認知症の介護のために知っておきたい大切なこと~パーソンセンタードケア入門』(Bricolage)
『介護職のための実践!パーソンセンタードケア~認知症ケアの参考書』(筒井書房)
『リーダーのためのパーソンセンタードケア~認知症介護のチームづくり』(CLC)
『私の声が聞こえますか』(雲母書房)
『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』(クリエイツかもがわ)
『認知症を乗り越えて生きる』(クリエイツかもがわ)
『なにか、わたしにできることは?』(西村書店)
『虹色のコーラス』(西村書店)
『ありがとう 愛を!』(中央法規出版)

『うつの世界にさよならする100冊の本』(SBクリエイティブ)
『日日是幸日』(CLC)
『パーソンセンタードケア講座』(CLC)

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