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マーライオンのように!

工藤浩美

テンナインヒストリー ~挑戦への軌跡~

「どんなものでも始まりは小さい」

そう思っていた私は、「会社は小さく産んで大きく育てる」という観点から、経費は時間を惜しまず工夫して抑えました。今ではある程度大きなお金の流れを把握していますが、相変わらずお財布の中身以上のお金はあまりイメージが湧きません。ただあまりに経費を抑えても、事業は回らなくなってしまいます。投資して初めてリターンが帰ってくるからです。無駄な経費と投資は別に考える必要があります。ものすごくオーバーな話に聞こえるかも知れませんが、私にとって最初の大きな投資はコピー機の契約でした。通訳者に資料を渡すのに、プリンターとコピー機は必要不可欠です。まずコピー機をリースしてくれる会社を探しました。オフィスは4畳半の一部屋、まだ設立前という状況でしたので、なかなかいい返事はもらえませんでした。途方に暮れているとある人の紹介で、スタートまじかのテンナインにもリースしてもいいという会社を見つけました。この会社とは今でもお付き合いがあり、コピー機の他に電話機やサーバー、パソコン回りをすべてお願いしています。当時オフィスに来ていただいた担当の方は、今では偉くなって、執行役員です。

コピー機のリース契約書にサインする時に、驚いたことが一つあります。それはリース契約の時は、代表取締役が個人保証をしなければならないということです。そんな基本的なことも知りませんでした。当時のコピー機の総額は60万円。これを分割でリースしました。「私は売上げ0の時に、60万円の借金を抱えてしまったんだ」という現実に胸が押しつぶされそうになりました。今まで一度もリボ払いも借金もしたことがなかったので、不安はピークに!大安の日にコピー機を4畳半のオフィスに納入してもらったのですが、据え付けが終わってベンダーの人が帰ってコピー機と二人っきりになった時、プレシャーのあまり(ちょっと汚い話ですが)マーライオンのように吐いてしまいました。今でもリースはあまり好きではありません。社用車もありませんし、パソコンもなるべく現金で買う、無借金経営を維持しているのも、そのような原体験からです。

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記事を書いた人

工藤浩美

白百合女子大学国文科卒業後、総合商社勤務。
その後通訳・翻訳エージェントに2社、合計11年間勤務。通訳コーディネーターとしてこれまでに数百件の通訳現場のサポートを行なう。 2001年7月に株式会社テンナイン・コミュニケーションを設立。趣味はシナリオ執筆。

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