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インターネット事件

工藤浩美

テンナインヒストリー ~挑戦への軌跡~

今振り返ってみても、起業前の私はどん底の状態だったと思います。自分から選んだとはいえ好きな仕事を辞めてしまって、先の見込みもなく、収入もなく、右も左も分からない中、手探りで起業準備をする毎日でした。「転んだら、また立ち上がればいい」

その気持ちだけが自分の心の支えでした。あまり深く考えるとどんどん不安になってしまうので、起業準備に集中しました。机回りやコピー機と同時並行で取り組んだのが、オフィスにインターネット回線を繋ぐことでした。まさにこれは私の中では「インターネット事件」と呼ぶにふさわしい出来事でした。当時の記憶を辿っていくと、ISDNというサービスに最初契約した覚えがあります。1つの電話回線で電話とインターネットが2つ同時に利用できるサービスでした。これだと新しく工事をお願する必要もないし、基本料金も抑えられます。いまだにITリテラシーは人より劣っていますが、なんとか自分の力でネットを繋ごうと試みました。しかし何度トライしても、マニュアルの通りにやっているのに一向に繋がらない。途方に暮れてサービスカウンターに電話するも、何十回かけても話中で、とうとうその日は一度も繋がりませんでした。

「どうしよう。会社がスタートするのにインターネットも繋がらないなんて。。。」焦った私は翌日朝9時の時報と共に、サービスセンターに電話をかけました。電話口に女性の声がする。「カスターマーサービスでございます」「やった!繋がった」とホッとするのもつかの間、次の瞬間猛烈におトイレに行きたくなってしまったのです。「あのすみません。昨日からずっと電話をかけているんですが、やっと今繋がったんです。でもどうしてもおトイレに行きたいので、切らないで待っててもらえますか?お願いします。今日中に絶対回線をつなげたいんです」私の迫力に押されたのか、電話口の女性が親切だったのか、電話は切られることなく、その後無事回線も繋がりました。(私が用意したケーブルがそもそも光ケーブルに対応していなかったのが理由です)。

この時私は確信しました。

やっぱり一人では仕事は出来ない。これから営業に行っている間、誰が電話を取ってくれるんだろう。そうだ、一緒に仕事してくれる人を探そう。その時一人の女性が私の脳裏に浮かびました。

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記事を書いた人

工藤浩美

白百合女子大学国文科卒業後、総合商社勤務。
その後通訳・翻訳エージェントに2社、合計11年間勤務。通訳コーディネーターとしてこれまでに数百件の通訳現場のサポートを行なう。 2001年7月に株式会社テンナイン・コミュニケーションを設立。趣味はシナリオ執筆。

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