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とんだ正月と相成りました(^_^;)

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通訳・翻訳者リレーブログ

風邪をひき、寝込んでしまいました。
それも、2日2晩たっぷりと。
それも29日の夜から。嗚呼。よりによって。
なんてこった。

その2週間ほど前から、周囲の人間たちが、大風邪をひいていました。そんな中に居たのですから、そのうちこっちにも来るな。覚悟はしていました。
それでも、大掃除、買物、年賀状の用意と、何事もなく、日々過ごしておりました。“このまま乗り切れるかも”。そんな気さえしていました。病人に囲まれながら。

ところがどっこい、そうはならず。29日の昼ごろからダルくなり始め、その夜、作りかけの年賀状を放置したまま、ベッドへ直行。
それから2日2晩、飲まず食わず。吐き気&寒気との戦い。

明け方、フラフラしながら、トイレへ。そうして、自分の尿の色にギョッとする。見たことのないような、凄い色だった。“大丈夫か、このアタシ?!”。焦焦焦。
フラフラしながら、下まで降りて行き、水筒に熱湯&ティーバッグを突っ込み、ベッドに戻り、横になってから、自分の中に無理矢理、水分を流し込む。

翌朝突然、冷たい炭酸が飲みたくなり、フラフラしながら下へ降りて行き、コカコーラを1杯飲み干す。

それにしても、なぜにこんなフラフラ・ゼーゼーするんだ? なぜ、普通に歩けない? 焦る。

気分転換に、横になったままテレビをつける。しかし、アナウンサーのキャーキャー甲高い声と、お笑いのバカ笑いに、余計気分が悪くなり、さっさと消す。

ならばと、読みかけの文庫を開いてみる。しかし、文字が無数の砂粒にしか見えず、まるで入り込めず、さっさと閉じてしまう。

吐き気がする。こんな時に、何かを口の中に突っ込んだら、それこそ大変なことになりそうだ。だから、歯磨きは諦める。まあ、いいさ。だいたい、何も食べちゃいないのだから。

友人から、“これから年越しそばの準備”というメールが入る。その“そば”という単語を見た途端、吐き気倍増。しかし、トイレに駆け込む気力すら出ず。“ああ、なんとでもなれ”と思っている内に、いつの間にか寝入ってしまう。

そうして、目が覚めた時には、2012年になっていた。
嗚呼、なんてこった!!

“少しは何か胃に入れないと、自分が干からびてしまう”。焦り出す。何が食べたいか、色々と考えてはみる。が、まるで何も思い浮かばず。結局、ヨーグルトを1口…2口、恐る恐る、自分の中に流し込む。

初夢。それは、雪崩に遭遇し、死にかけるという、なんとも物騒なものだった。ゼーゼー汗だくになりながら、目を覚ましたら、胸の上にメインクーン(7キロ)、腰の辺りにメインクーン(8キロ)が、ムニャムニャいびきかきながら、気持ちよさそうに寝ていた。それじゃあ、雪崩のひとつくらいに遭うわなあ。ボーッと納得する。

3日目に、やっと寒気&吐き気が引く。
熱があるとか、咳が出るとか、頭痛がするとか、腹が痛いのは、まだ耐えられる。が、吐き気はシンドイ。食欲がないのも辛い。

気力も体力も少し戻って来た…気がしたので、思い切って着替える。しかし、着替えるという行為にも、これだけ体力&気力が必要だということを、初めて知り、愕然とする。

とにかく、そうして久々着替えて、下界へと降りて行く。
そうして、豆腐&長ネギ&牛肉を、少しずつ、自分の中に突っ込む。どれも味が殆んどしない。牛肉に至っては、段ボールをかじっているみたいだ。
でもそれでもいい。少しずつ食欲さえ戻れば、あとはこっちのもの。徐々に回復へと向かうのだろう。少しホッとする。

しかし、その夜。ゲップが止まらなくなる。だから、なかなか寝つけず。出しても出しても、またすぐ溜まる(汚い話で、ごめんなさい)。腹の中が…アワアワ…アワアワ…。まるで人間ゴカボウ。あっ、こういうカニ、どこかで見たことあるなあ。どこだったかな。ボンヤリ考える。

真夜中、メインクーン8キロ&メインクーン7キロが、ベッドの横でギャーギャー、取っ組み合いをしている。身体&心にガンガン響く。頼むから、ケンカは、寝室には持ち込まないでくれ!

明け方、無性に喉が渇いていることに気づく。“おっ、これや良い兆候だ!”。フラフラしながら下へ降りて行き、冷蔵庫の中のグレープフルーツ・ジュースを1杯飲む。すると今度は、隣にあったペプシーが飲みたくなり、1杯飲む。すると今度はまた、グレープフルーツ・ジュースが飲みたくなり、1杯飲む。しばらくこれを交互にやってみる。う…うまい! 部屋に戻ったら、今度は熱いものが飲みたくなる。それでベッド横の、水筒の中の紅茶をグビッとやる。う…うまい! 御満悦でベッドに横になる。

4日ぶりに、鏡の前に立つ。するとそこに映っていたのは、“あんた、ダレですか?”みたいな、ヨレヨレの汚いオンナだった。嗚呼。

こういう時は、もしかして、カフカみたいな名作が書ける…かも。あるいはムンクか? ちょっとワクワクしながら、ベッドの横にノートを置き、“その時”を静かに、待つ。

夜、“グオォ〜オオオォォォ〜〜!”という騒音に、目が覚める。自分の腹が発した音だと、すぐに気づく。“おっ、これは良い兆候だ!”。フラフラしながら下へ降りて行き、食堂にあったみかんの皮をむき、1片口に入れてみる。そうして…2片…3片…。でも結局、自分はいま、こんなものが食べたいのではないことに気づく。ならば、代わりにと、周囲を見渡すも、結局ソソられるものが見つからず。そのままフラフラしながら、寝室へと戻る。
下りて上って、体力使って、収穫ゼロ。

七草粥。しかし、味がしない。美味しく、ない。食欲が相変わらず、まるで出ない。

相変わらず、普通に歩けない。足がきっちり、地上についていない。全身がプカプカそよいでいる。そんな感じ。それに、ちょっと動いただけで、ゼーゼー・ピロピロ。肺が正常に動いていない感覚。
どうしたものか。単なる風邪なら、2晩ほど寝れば、すぐに治るのに。わたしの記憶が確かならば。

吐き気&寒気と入れ替わりに、咳が酷くなっている。発作のように、ずっと続き、殆んど眠れない夜もあるほど。
咳をするたび、身体中がギシギシ痛む。特にみぞおち。本当に痛い。ベッドで寝返りを打つ、そんな単純なことも、辛い。

横になる。すると、途端に咳が激しくなる。ならばと、上半身を起こしてみる。すると、凄く落ち着く。で、その格好のまま、夜寝る。

朝起きると、また咳が止まらなくなる。涙が出てくる。肺も痛む。

自分の肺が、何者か

占領されてしまったみたいだ。

シンドイ。

これは、医者に行くしかないな。いや、しかし、困った。なんたって、風邪なるものを、最後にひいたのがいつだったか、まるで記憶にないほどだから。よって、医者なんぞ知らない。だから、何処の医者に行けばよいのかも、見当もつかず。途方に暮れてしまう。

やっと見つけて貰って、近所の医者。
ヨレヨレしながら、思い切って行ってみる。

“で、どーしました?”
“長いんです。最初は吐き気&寒気だったんですけど、それからはずっと、咳が止まらなくて、息も苦しくて”
“でも、ここまで来られたんだよね”
“あっ、はい。でも、いつもの3倍くらいの時間かかりました”
“いつもはそんなに元気なんだ”
“あっ、はい。8キロある猫の砂を2袋買っています。この砂が、またなくなりかけているのですが、いまは1袋を持つ自信もないくらいです”
“そりぁ、今は仕方ないね”
“………”
“熱は?”
“最初に微熱くらいを”
(←というのは実は嘘で、体温など、一度も測ってはいない)
“肺のX線も、まあ別に問題ない感じだよ”
“ゼーゼー・ピロピロするのも?”
“だんだん回復するでしょう”
“食欲不振は?”
“だんだん出てきますよ。無理に食べることはないでしょう”

自分の置かれている状態を説明するだけ。なのに、こんなに体力&気力が必要とは。元気な時だったら、面白おかしく、話を即興で作っちゃえるくらいなんだけどなぁ。残念だ。

途中でだんだん、説明するのも、億劫になってしまう。
で、結局、“風邪!”というでっかいハンコを押され(^_^;)、薬を山盛り貰い、ゼーゼー言いながら、帰宅する。

寝るのに、もう飽きてきた。かと言って、起きる気力も、ない。だから、ベッドスプレッドの毛取りを始める。一カ所一カ所、丁寧にきれいにしていく。夢中になると、他のことを一瞬でも、すべて忘れられる。これってちょっと、翻訳作業にも似ているなぁ。ぼんやり、考えながら。
で、飽きたら、また寝る。

咳のし過ぎで、喉が痛く、声を発する気力すら、まるで湧かない。
話そうとしても、はっきりした声が出せず。大きな声を出そうとすると、咳が出て、また止まらなくなる。そうして、喉が益々痛くなる。心臓にも響く。頭痛もする。身体中がバキバキする。だから、話すのを諦める。すると、どんどん無口になる。そうしていつの間にか、そこにいるだけの、単なる肉の塊と化していく。ベッドにひっくり返る、肉の塊。役立たずの肉の塊。嗚呼。

胸の当たりが、絶えずピュロピュロいっている。
深呼吸が、できない。普段、当たり前にやっている、深呼吸が…。

今年お初になるはずだった、電話インタビューのオファーを、断ってしまう。途中で咳が止まらなくなってしまったら、大変だから。それにだいたい、このガラガラ声じゃあなあ…。ほんともう、いい加減、いつもの美声を取り戻さないと。

“あたし・いま・なに・たべたい?”。ぼんやり考える。そこから、一日が始まる。とても原始的な、一日のスタートだ。

りんごが食べたい…ような気がしてくる。で、ボーとしながら、冷蔵庫を開け、りんごを一個取り出す。でも、そのりんごを眺めながら、気づく。これを剥く気力も体力も、それすら、いまのあたしには、まるでない。それで諦めて、りんごを、元の場所に戻す。

はちみつレモンを作る。美味しい。

ハゲかけてきたマニキュア&ペティキュア。FIRE! 早く塗り直したい。でも今は、集中力に欠ける&ずっと下を向いていると、気持ち悪くなるので、できない。

咳の薬、痰の薬、気管支喘息の薬。普段、薬…ビタミン剤やサプリさえも、まるで飲んでいないので、風邪薬を飲み続ける行為は、はっきりいって、気分悪い。自分をこんな薬漬けにして、よいものだろうか?

下へ降りていく。冷蔵庫からジンジャエールを取り出す。ジンジャエールを水筒に入れる。ジンジャエールを冷蔵庫に戻す。上へ上がっていく。やったことは、ただそれだけ。なのに、心臓がバコバコいっている。

大丈夫か、このアタシ??

バーゲンのハシゴがしたい!!

9日目。咳に悩まされずに、寝ることに成功する。

10日目。久々、それなりの分量を、腹の中に納めることに成功。しかし夜、胃がチクチク痛む。仕方ない。

食欲って、ほんと、不思議。当たり前だと思っている、実はまるで当たり前ではない、もの。

肺の中が嵐が丘。

マスクをしてみる。少しラクになった、気がする。そのまま寝てみる。い…息苦しい。ああ言えばこう。

夜、咳があまりにひどいので、喉飴を嘗めてみる。そうしたら嘗めながら、いつの間にか、寝てしまった、ようだ。朝起きたら、口の中全体が、めっとり甘かった。それからまる2日間、その余韻に苛まれる。

食欲が完全復帰したら、バケツ一杯の、色々な種類の新鮮野菜の中、思い切り顔を突っ込みたい。

内臓の形がうっすら分かる、ことに気づく。こういうの、どっかで見たこと、あるなあ。ああ確か、インドかどっかの修行僧(^_^;)

体重、そうとう減ったんだろうなあ。でも、普段何キロか知らないから、減ったか増えたか、分からない。こんなこと、医者には言えないよなあ。ぼんやり、考える。

人間の身体って、摂取する食物によって、出来ているんだなあ。腹に触れながら、物凄く実感する。

食欲って、本当にありがたい。ステキなことだぁなぁ。

床の汚れが気になる。ベッド周辺だけでも、掃除したい。気になる、気になる。でも、掃除機を動かす気力が、ない。おまけに、下を向いたら吐きそうだ。で、断念する。だいたい、ゴミで人が死んだって話、これまで聞いたことはない。だから、まあ、いいや。

咳のし過ぎで、全身筋肉痛。
咳は、体力を消耗させる。

椅子に座っているだけでも、かなりしんどく。すぐ横になりたくなる。単に座るという行為も、体力&精神力がいるんだってこと、今回初めて知る。

腹がゴロゴロ鳴る。でも、食欲があるかというと、けっして、そういうわけではなく。ならば、なぜ、こうも鳴る?

喉が炸裂。

猫のトイレの掃除ができた。りんごが剥けた。フラフラせずに、下まで降りられた。歯磨きができた。ご飯を全部食べられた。メールが打てた。ゆっくり新聞が読めた。ゆっくり風呂に入られた。日頃、当たり前にできていることが、できるたび、いちいち嬉しい。

久しぶりに、本を読

たくなる。そうして開いたのが『熱砂』。その後に『流星たちの宴』。どちらも相当前に購入したものの、開かずに放置してあったもの。それにしても、弱っている時に限って、なぜにこんな、アフガンだ内乱だ不時着だ株だ不渡りだという、ハードボイルドものが、それも立て続けに2冊も、読みたくなってしまったのだろう。人間の心理って、理解に苦しむ。

約2週間後。咳が、通常の咳になりつつある。
いつの間にか、普通に歩けるようになっている。

枯れ果てた地に、小さな青い芽が、ひょっこり顔を出しつつ、ある。って、そんな感覚。

早くマンテンバイクを思いっきり乗り回したい!

当たり前だと思っていた、実は、まるで当たり前ではないこと。あれやこれや。

健康って、本当にありがたい。
元気でありさえすれば、あとはこっちのもん。何だってできるわけだから。だから、何だってできる健康体にあるのに、何もしないのは、もの凄く勿体ない。だから、やりたいことはやりたい時に、絶対にやるのだ!

それにしても、今度の風邪は、単なる風邪とは、様子がまるで違う。本当に、本当に、酷かった。そうして、しつこかった。結局、最後まで悩まされた咳も、まだ完治はしていないのでR。

とんだ2012年の幕開けだ。嗚呼。

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記事を書いた人

サイトデフォルト

高校までをカナダと南米で過ごす。現在は、言葉を使いながら音楽や芸術家の魅力を世に広める作業に従事。好物:旅、瞑想、東野圭吾、Jデップ、メインクーン、チェリー・パイ+バニラ・アイス。

END