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娘のキャンプ

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

 ニュージーランドでは、小学校最後の年に当たるYear6にキャンプに行くという慣例があります。行き先や日程、時期は学校によって異なりますが、日本の修学旅行の位置づけに似ています。そして先週は、娘がこのキャンプに参加していました。
 目的地は学校から車で1時間足らずのキャンプ場。ここに、月曜から金曜まで4泊5日で滞在しました。近くの島にハイキングに出かけたり、カヤックに乗ったり、ミニゴルフをしたりと、予定表を見るととても楽しそう。幸い、天気に恵まれ、とても楽しく過ごして帰ってきました。
 ただ、出発前はひともんちゃくありました。キャンプとはいえ、娘の学校の場合、部屋に泊まるのですが、ホテルとは違うので、ベッドはあっても、布団はありません。このため、寝袋やシーツ、枕を持っていく必要があります。それにバスタオルやら5日分の着替えを持っていくと大層な荷物になりました。
 それを、お気に入りのディズニーキャラクター、マリーちゃんのリュックとトランク(もちろん日本で買ったもの)に入れて持っていく、と娘が主張して譲らなかったのです。でも、どう考えても小さすぎ。夫と2人で説得して、夫が使っている地味なカバンとバックパックに代えさせました。途中は涙、涙。一生懸命自分で詰めていたので気の毒でしたが、行って困るのは本人なので、なんとか説得しました。
 そして当日の朝、娘と一緒に学校に行ってみたら、キャラクターのカバンなんて持っている子はおらず、みんな同じように地味な大きなカバンに詰め込んでいました。そう、日本ほどキャラクターものは浸透していないのです。やれやれ。
 そして娘がいよいよバスで出発。行くまでは、これで金曜まで仕事に集中できる、などと考えていたのですが、すごくさびしく感じている自分にびっくり。いつもなら3時に仕事を中断させて、学校から帰ってきた娘におやつを出して、しばらくおしゃべりに付き合っているのですが、その必要もなし。
 改めて、娘と過ごす時間の愛おしさを知りました。考えてみれば、娘と一緒に生活する年月なんて、順調に行けばあとほんと数年しか残されていないのです。忙しがらずに、もっと娘との時間を大切にしようと改めて思いました。
 木曜日の夜には、ファイナルナイトということで、グループに分かれて出し物をやるというコンサートがあって、親も見ることができました。私はもちろん、いそいそと夫と一緒に出かけて、3日ぶりに娘と対面してきました。出発前、花粉症がひどくなっていて心配だったのですが(これまでは春だけだったのが、ついに今年は秋も発症してしまった)、なんとか元気な姿を見て、ホッとしました。
 小学校最終学年とはいえ、まだ10歳で、日本では新5年生です。初めて親と離れて、いきなり4泊もしたのですから、娘なりに緊張して過ごしたはずです。その経験が子供にとって新しい発見や自信につながっていくでしょうが、親にとっても新しい発見をもたらしてくれるとは思ってもいませんでした。
 とはいえ、帰ってきたら、相変わらず、「早く起きなさい」「バイオリンの練習は?」「宿題は?」などど口やかましくなってしまうのですが、そういう一つひとつの日常が後から思ったら大切な思い出になるのだなあと、しみじみ教えてくれた貴重な経験でした。

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記事を書いた人

みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

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