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4ヶ月後の再会

ガットパルド(gattopardo)

通訳・翻訳者リレーブログ

さて。
世間は師走。年末年始、海外旅行に行く方々も多いことでしょう。わたくしも、ご多分にもれず、束の間のバカンス。でも、大みそか前に帰ってきます。ほんとうは、飛行機が高い時期には自費で海外にはあまり行きたくないのだけど、今年はどうも、うまく時間のすき間が見つけられなくて、年末にまでずれ込んでしまった。それでも最後のあがきで、最高値の一歩手前の時期に行って帰ってこようという次第。せこいわ。
行き先は、南仏。この夏、私をプリクラ・デビューさせてくれた、当時14歳、誕生日をまたいで現在15歳になった日仏ハーフのかわいこちゃんと、うふふの再会です。
まあ、細かい話は置いといて、目下私が興味を持って見守っているのは、このお人形ちゃんと、彼女の年子の兄の使う「若者フランス語」。私はこの2人を合わせて「ベベたち(ベイビーたち)」と呼んでいるので、ここでもそう呼ぶことにします。
このベベたち、最近、メールを始めたので、私のところにも、ちょくちょく、可愛らしい文面がとどく。なんたってコートダジュールである。どこかの国の暗〜い都会で育った中学生とは感覚がまるきし違って、人生のびのび、食べ物は美味しくワインは芳純、果てしなく続く海岸線、空にはいつも太陽が〜〜、なのである。うらやましい限り。
そして、同じ兄妹でこうも違うか、とお腹をかかえて笑いたくなるような、言語の個性。
はっきり言って、妹はかなり優等生。お兄ちゃんは・・・鳴かず飛ばず。フランスはいわゆる「飛び級」というのがあって、成績が良ければどんどん学年を跳び越えて進級できてしまい、じつは、この兄妹、学校では妹のほうが学年が上。私にくるメールも、妹の書く文章は私が学生時代に教科書で習った例文そっくりの、きっちりとした、わかりやすいフランス語。お兄ちゃんのほうは、あっちゃっちゃ〜〜、と、目を覆いたくなるようなつづりのミスがバシバシ。しかし・・・この兄は、ときどき「なるほどねえ〜〜、ここで、こういう単語を使うか!!」と、時間にして彼の2.5倍の人生をすでに生きている私の脳細胞をうならせるような表現を使う。優等生の妹のほうが逆立ちしたって思いつかないような言い回しが、彼の頭の中では製造できるのです。
ここでその例を挙げて2人のベベの言語特性を解説したい気持ちはやまやまなのだけど、なにしろフランス語なので、ちょっとめんどうくさい・・・ただひとつだけ、もっともわかりやすい例を出すと、妹ベベはメッセージの結びに「はやくまたフランスか日本で会いたいね!」と書く。そして兄ベベは「日本とフランスで会おうよね!」・・・みなさま、この、意図された「か」と「と」のうちにある心情と発想の違いが汲み取れますかな?
彼らを見ていると、つくづく、教育というのは通り一遍のことを教えるだけでは足りないのだ、その子供に合った、それぞれの方法がある、ということを考えさせられる。
しかし、学校からの成績表を見て一喜一憂する両親の心配をよそに、彼らは日に日に成長していく。妹ベベに会ったのは、今年の8月。兄ベベには、一年以上会っていない。どんな姿になっているのか、今から楽しみです。

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ガットパルド(gattopardo)

伊・仏・英語通翻訳、ナレーション、講師など、幅広い分野において活動中のパワフルウーマン。著書も多数。毎年バカンスはヨーロッパで!

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