INTERPRETATION

第44回 類語をまとめて覚えよう! その5 「改善・回復」

グリーン裕美

ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!

皆さん、こんにちは。第40回より数字と合わせて使われる言葉をまとめて紹介しています。このシリーズの最終回は、「改善・回復」に関連したポジティブな言葉を集めたいと思います。企業業績に限らず、いったん悪い結果が出ても、その後の努力で良い結果が出せれば嬉しいですね。七転び八起きの精神で今日もがんばりましょう!

では、そんな風に希望を持たせてくれるような日本語は何があるでしょうか? いくつか挙げると……。

・持ち直す

・取り返す

・取り戻す

・立て直る

・挽回

・好転

などに加えて、相場が下落状態から一転して上昇に転ずることを「反発」。先週、書き忘れましたが逆に値上がりしていた相場が一転して下がり始めることを「反落」と言います。

では、英語はどんな表現が思い浮かびますか?

・improve:皆さんご存知の「改善する」という一般的な言葉。ビジネスでは目的語にefficiency(効率性)、productivity(生産性)、performance(業績)など色々な言葉が使われます。

・restore: 元の状態に戻す、回復させる。How to restore the Greek economy(ギリシャ経済復興の方法)

・reconstruct:立て直す、再建する。The government’s aim was to reconstruct public finance without a tax hike or downsized government spending. (政府は、増税や政府支出の削減を行わずに財政再建することを目標としていた)

・perk up:「元気にさせる」というような意味ですが、経済やビジネスでは「(経済を)活性化させる」の意でも使われる。この記事のCoffee beans perk up Vietnam economyではコーヒーの覚醒作用と景気好転の両方にかけてperk upが使われています。「コーヒー豆のおかげでベトナム経済が目覚める」って感じでしょうか?!

・pick up (景気が)次第に回復する、好転する、(需要が)上向く。名詞はpickup(またはpick-up)。Pakistan economy will continue to pick up(パキスタンの経済は、回復基調が続くだろう)

・turn the corner:日本語の「峠を越す」と同じように「危機を脱する」の意。英語では「角を曲がる」というのが面白いですね。どちらも「先が見えない状態から、見えるようになった」という共通点がありますね。

・rally:(株価・相場が)反発・反騰する、持ち直す。名詞もrally。反対語の「反落」はreaction。

他にも、take off、gain ground、boost、strengthenなどがあります。気になる言葉はこの機会に調べてみてください。

以上、5回にわたり類語をまとめて紹介しました。お役に立てば幸いです。

イギリスでは、4月末は真冬のような寒さで泣きそうになりましたが、5月に入り急に暖かくなり嬉しいです。冬の後には遅くとも春が訪れるように、人生山あり谷あり。嫌なことがあっても、また良いことが必ずあるでしょう。落ち込むようなことがあれば是非今回の用語を思い出して、Things will pick up! と信じて乗り切ってください!

Written by

記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
Follow me on Twitter (@HiromiGreen) and note (https://note.com/hiromigreen)

END