INTERPRETATION

第144回 どこも暑い今年の夏の必須表現

グリーン裕美

ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!

皆さん、こんにちは。毎日お天気のニュースが日本のメディアからも欧州のメディアからも流れています。先週出張していたポルトガルでは最高気温47℃で過去最高! 今週滞在してるドイツも40℃近くまで上がるよう。イギリスも30℃を超える日が続いています。「もう天気のニュースにはうんざり」と思う一方で、話題になることも多いので今週のトピックとします。

まず、「猛暑」。英語では何て言うでしょう?

日本語では日中の最高気温が35℃以上の日を「猛暑日」と言いますが、英語圏(少なくともイギリス)ではそのような定義にあたる用語はなく、特別暑い日をan uncomfortably hot dayやan unbearably hot dayのように形容詞hotを使った表現を使ったり、extreme heat、intense heatのように名詞heatを使ったりします。boiling(沸騰する)やbaking(オーブンで焼く)も「すごく暑い」の意味で使われます。

「猛暑ニュース」でよく見聞きする英単語はheatwave。「熱波」と訳されることが多いけど「猛暑」の意味で使われることも多いように思います。

「欧州、再び猛暑」→Europe bakes in another heatwave.

「蒸し暑い」という意のmuggyも必須用語。「日本に比べると爽やかな暑さだな」と思う日でもイギリス人はtoo muggyというので体感は人によってかなり差があるようですね。

「最高記録更新」は英語で何と言うでしょう?

今週末の猛暑ニュースではthe all-time temperature record could be brokenとか、We will break the European temperature recordと報道されていました。

“break a record”で「記録を更新する」

覚えておくと、ビジネス会議やスポーツ系の通訳でも使えそうですね。「更新」といってもこの文脈ではrenewは使われないので気を付けましょう。

「日焼け」は英語で何と言うでしょう?

日本で英語の勉強をしていたころにsunburnと学んだ記憶がありますが、sunburnだと赤くなった軽いやけど状態を指し、ほめ言葉にはならないので要注意です。しかも西洋ではsun burnと皮膚がん(skin cancer)を関連づけることが多いので、気軽に「ちょっと焼けちゃったね」の感覚だと “You’ve caught the sun” がよいのではないかと思います。

ほめ言葉で「(小麦色の)日焼け」という意味ならtan(suntan)を使います。「こんがり焼けたね」だとYou look tanned! イギリスではtannedですが、米語ではtanだけでYou look tan!とも言うらしいです。

You got a great tan! だと「小麦色にきれいに焼けてて素敵!」の意。

ところでイギリス人はtannedに見えるよう涙ぐましい努力をします。日本では「どの美白コスメがいい?」なんて話題になると思いますが、イギリス人ママとのおしゃべりで “Which (fake) tan cream is the best?”が話題になったときはすっかり取り残されました! 男性も女性も夏になるとなるべく肌を出して少しでも焼きたいと思うようです。

ちなみに「日焼け止めクリーム」はsun creamやsun block。「日焼け止め対策」はsun protection。”Protect your skin from the sun”とも。

冷房装置という意味での「クーラー」が和製英語ということはご存知の人も多いかと思います。正しくはair conditioning (unit)やair conditionerですが、日常会話ではair conと言います。冷たい飲み物などを持ち運ぶときに使う「クーラーボックス」は英語でもcooler box。

イギリスでは暖房施設は整っていますが、冷房施設がない建物も多く、我が家には扇風機すらもありません。湿度が低めとはいえ、30℃を超えるとつらいです。

そしてこんなときに食べたいのが「ソフトクリーム」! これも和製英語で定訳がありません。イギリスでは単にice creamとも言われますが、ブランド名Mr Whippyが普通名詞のように使われ、99 Flakeが人気です。アメリカではsoft serveというそうです。

以上、今月の日常英会話や会議でのsmall talk(雑談)で役立つ表現を取り上げました! 涼しい日が待ち遠しいです。

2018年8月6日

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ふだん本コラムをお読みの皆様に東京でお会いできれば幸いです!

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記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
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