INTERPRETATION

第308回 「一流の」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

crackerjack (一流の)
I saw a movie with a crackerjack cast. (一流の俳優陣が出ている映画を観ました。)

******

「一流の」を英語でcrackerjackと言います。アメリカで使われるインフォーマルな表現です。お目見えしたのは19世紀後半で、crackは「割れる」という意味の他に「優秀な」という語義もあります。jackは「男性」を表す話し言葉。これが転じて「一流の」という意味になりました。なお、アメリカにはCracker Jack というポップコーンが昔から大人気です。

今回このフレーズをご紹介しようと思ったきっかけは、先日訪ねた奈良でした。奈良公園は観光客がたくさん!みなさんのお目当ては、あの有名な「鹿」です。鹿せんべいを売る露店には多くの人が並んでいました。そこでいつもの私の癖が・・・。そう、「英語で何と言う?」とつい考えてしまうのですね。「鹿せんべいは?おせんべいはrice crackerだけど、そのままdeer rice crackerかしら?」と考えることしばし。露店の英語表示を見ると、”deer crackers”とありました。なるほど、riceは無くても良いのですね。そこからcrackerとつながり、今回の表現となったのでした。

ところで「鹿」は一般的にdeerですが、英語はオス・メスで呼び名が変わります。牡鹿はstag, hart, buck、雌鹿はhind, doe, roeです。「ドレミの歌」の英語の「ド」はDoe, a deer, a female deerです。

Written by

記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

END