INTERPRETATION

第47回 「ごみ」を英語で言うと?

グリーン裕美

国際舞台で役立つ知識・表現を学ぼう!

日常語として欠かせない「ごみ」ですが、いざ英訳しようとするとtrash、garbage、rubbish、waste、refuse、litterなど色々あってどの文脈でどれを使えばいいのか迷うのではないでしょうか。「ごみ」の意味で皆さんにとって一番馴染みのあるどれでしょう?

アメリカ英語に馴染んでいる方にとってはtrashやgarbageではないでしょうか。どちらも家庭から出る「一般ごみ」ですが「生ごみ」はgarbageに含まれ、trashは「紙くず」のような乾いたごみという違いがあるようです。the trashは「ごみ箱」の意もあり(trash canとも)。

イギリスでは一般的にrubbishが使われます。「ごみ箱」はbinまたはrubbish bin。
「生ごみ」はkitchen wasteやfood waste。

waste、refuse、litterは英米どちらでも使われますが、litterは公園や町中、観光地など公共の場に捨てられているごみを指します。また「廃棄物」のような少しレジスターが高い(よりフォーマル)語がrefuseやwaste。refuseは「拒否する」の意の動詞と同じスペルですが、「ごみ」の意では第1音節にアクセント、しかも[ri]ではなく[re]の発音なので要注意!

trash、garbage、rubbish、litter、refuse、waste…どれも不可算名詞、つまり複数形にはならないのでたくさんごみがあるからと複数形にしないように気を付けましょう。

「たくさんのごみ」
✖ many rubbishes/trashes
〇 a lot of rubbish/trash

ついでに「おむつ」はどうでしょう? これもアメリカとイギリスで全く別の語なんですよね。アメリカではdiaperですが、イギリスではnappy。こちらは複数形(diapers、nappies)あり。

「ごみ箱」のtrash(米)やbin(英)は、動詞としても使われます。「それ捨てて」というとき「捨てる」=throw awayが思い浮かぶかもしれませんが、もっと短く
Bin it.
とも言えます。

Bin itと言えば……。マスクをする習慣のないイギリスでは、感染病の予防法として20秒の手洗い以外にCatch it and bin itが推奨されています。これはコロナ大流行の前から言われていることですが、「咳やくしゃみが出そうになったらティッシュで口や鼻を押さえて飛び出すものをcatchし、すぐにそのティッシュをごみ箱に捨てましょう」という意味です。

また「ごみ」から派生して「くだらないこと(を言う)」の意味でもtrashやrubbishが使われます。

「くだらないこと言うな」
Don’t talk rubbish/trash.

以上、今週は日常語の「ごみ」を取り上げました。

3月に入り、欧州もコロナウィルス関連の報道ばかりで、今週はコロナとは全然関係ない話題を取り上げようと思っていたのについついCatch it and bin itを含めてしまいました(苦笑)。欧州でも相次いで学校全面閉鎖の国が増えていますが、イギリスにおいては執筆時点(2020年3月14日)では小・中・高は通常通りの授業が行われています。けれども大学や大学院は自主的に今週からオンライン指導に切り替えとなりました。私も気が付いたらジムにも行かず自主隔離(self-isolation)の生活をしています。

では最後にbinに関する逸話を紹介します。
イギリスで某通訳者が「瓶ビール」を音にとらわれてついついbin beerと訳してしまいました。それを聞いたイギリス人、意外ににっこり笑顔でとても嬉しそう。なぜかと理由を問うとThat’s much better, isn’t it? という答え?! どうやらビール好きの彼は、瓶に入ったビールではなくごみ箱サイズの大きなビールを想像して「それくらい飲めるといいな」と嬉しくなったようです。誤訳がほっこりにつながるエピソードでした!

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記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
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