INTERPRETATION

第46回 通訳はサイヤ人

寺田 真理子

マリコがゆく

みなさん、『ドラゴンボール』は詳しいですか?
わたしは結構詳しかったりします。なぜって、浪人時代を支えてくれたのが『ドラゴンボール』だったんです。一日中勉強して、頭がショートしてくる頃にちょうどアニメで『ドラゴンボール』が放送されていたんです。戦う悟空の姿に励まされ、浪人時代を乗り切ったわたしです。(ちなみに「マリコ浪人時代・夜の部」はバーボンと中島みゆきが支えていました・・・。」)
そんなわたしなので、なんでも『ドラゴンボール』に結びつけて考えてしまいます。もちろん、通訳のことも・・・。

通訳は、サイヤ人です!

サイヤ人は、死にかけてから復活すると格段にパワーアップします。通訳にも同じことがあてはまると思いませんか?
同時通訳を一日やりまくって。アタマの中に字幕が流れ出して。脳細胞が死に絶えていくのをひしひしと感じて。休んでも休んでも疲れがとれなくて。
そんな修羅場を乗り越えると・・・いつの間にかちょっと違う次元に移行しているのです。

もちろん、適量の通訳(1日2-3時間程度)をゆったりしたペースで続けるのも実力がつくんですが。それよりも、「このままじゃ殺される!」という危機感を感じるくらいの無茶な通訳を一時期集中してやるほうが、早く別次元に移行できるようです。

『ドラゴンボール』の中でも、「強敵と戦うため短期間で戦闘力をアップさせなきゃいけない」という場合、何度も死にかけることで大幅なパワーアップをするシーンがありました。ということは、「大きな仕事を控えて短期間で通訳力をアップさせなきゃいけない」場合は、その前に過酷な通訳をするといいのかも・・・?

以前、「どうやったら同時通訳ができるようになるんですか?」という新人通訳者の疑問に答えて、ある通訳者が「ビッグ・バンがあるんです!」と答えていました。「はあ、ビッグ・バンですか・・・」としか反応のしようがありませんが、今なら言わんとしていたことがわかるような気がします。
ビッグ・バンは、スーパーサイヤ人になることですね!
・・・ということは。

逐次通訳者=サイヤ人
同時通訳者=スーパーサイヤ人
じゃあ、スーパーサイヤ人2とか3は??

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Written by

記事を書いた人

寺田 真理子

日本読書療法学会会長
パーソンセンタードケア研究会講師
日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー

長崎県出身。幼少時より南米諸国に滞在。東京大学法学部卒業。
多数の外資系企業での通訳を経て、現在は講演、執筆、翻訳活動。
出版翻訳家として認知症ケアの分野を中心に英語の専門書を多数出版するほか、スペイン語では絵本と小説も手がけている。日本読書療法学会を設立し、国際的に活動中。
ブログ:https://ameblo.jp/teradamariko/


『認知症の介護のために知っておきたい大切なこと~パーソンセンタードケア入門』(Bricolage)
『介護職のための実践!パーソンセンタードケア~認知症ケアの参考書』(筒井書房)
『リーダーのためのパーソンセンタードケア~認知症介護のチームづくり』(CLC)
『私の声が聞こえますか』(雲母書房)
『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』(クリエイツかもがわ)
『認知症を乗り越えて生きる』(クリエイツかもがわ)
『なにか、わたしにできることは?』(西村書店)
『虹色のコーラス』(西村書店)
『ありがとう 愛を!』(中央法規出版)

『うつの世界にさよならする100冊の本』(SBクリエイティブ)
『日日是幸日』(CLC)
『パーソンセンタードケア講座』(CLC)

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