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第250回 ChatGPTは出版翻訳企画の持ち込みに使えるの?③

寺田 真理子

あなたを出版翻訳家にする7つの魔法

ChatGPTは出版翻訳企画の持ち込みに使えるのかを検証しています。もう少し踏み込んだ提案が欲しいと思い、実際に持ち込んだ出版社を複数社挙げてみたところ、こんな回答が出てきました。

まず、Chat-GPT3.5の回答がこちらです。

“素晴らしい企画ですね。これまでにすでに打診された出版社の中で、系統の近い出版社をいくつか提案いたします。ただし、これらの出版社についての最新情報は確認が必要です。また、条件に合致するかどうかは出版社に直接問い合わせることが最も確実です。

研究社:
研究社は教育関連の出版に特化した出版社で、多様性や子供向けの本に力を入れています。絵本の翻訳に対するオープンな姿勢が見られる可能性があります。

あすなろ書房:
あすなろ書房は、教育、育成、健康など多岐にわたるジャンルの本を出版しています。多様性や子供向けの本に興味を持つ可能性があります。

彩流社:
彩流社は美術、絵本、写真集など、美術関連の本に特化しています。鮮やかな色彩が特徴の絵本が適している可能性があります。

新風舎:
新風舎は様々なジャンルの本を手がけており、独自の視点やテーマ性を重視しています。多様性に興味を持っている可能性があります。

ひかりのくに:
ひかりのくには絵本や子供向けの本に力を入れている出版社で、多様性や鮮やかな色彩が絵本において重要視されている可能性があります。

これらの出版社に対して、ウェブサイトや担当者に直接問い合わせて、あなたの作品についてのプロフェッショナルで明確な提案を行うと良いでしょう。”

質問の際に実際に持ち込んだ出版社名を挙げたことで、具体的な提案が出てきました。ただ、「たしかに、私の持ち込んだ出版社と系統が近いな」と納得できるところもあれば、「なぜこの出版社が候補に?」と不思議に思う部分もあります。具体的になってきたことは評価できるものの、提案のレベルとしては微妙なところです。

また、系統が近くても、「この企画はこちらの出版社は受け付けないな」と思うところもありました。そういう情報は、やはり実際に持ち込みをしたり、まわりの方に話を聞いたりして得られたものなので、そこはやはり足で稼ぐしかないのでしょう。

続いて、ChatGPT-4を搭載したBingに同じ指定をしたところ、こんな回答が得られました。

“こんにちは、これはBingです。翻訳家としてのご活躍、素晴らしいですね。日本で紹介したい本があるとのことですが、これまでに打診された出版社のリストを教えていただきありがとうございます。私はウェブ検索の結果をもとに、系統の近い出版社の候補をいくつかご紹介します。

まず、鳥が登場する絵本であれば、以下のような出版社があります。

  • 偕成社:『ことりをすきになった山』や『ことりの くるひ』など、鳥の生態や心情を描いた絵本を出版しています。鳥の絵本の専門家として知られる岩崎ちひろさんの作品も多くあります。
  • パイ インターナショナル:『世界の美しい鳥』や『きれいですごい鳥』など、鳥の美しさや多様性を紹介する絵本を出版しています。鳥の写真やイラストが鮮やかで見応えがあります。
  • ポプラ社:『とりさん なんの ぎょうれつ?』や『とりのおうさま』など、鳥のキャラクターが活躍するファンタジーな絵本を出版しています。鳥の種類や特徴を楽しく学べる絵本もあります。

次に、多様性をテーマにした内容であれば、以下のような出版社があります。

  • 福音館書店:『ぐりとぐら』や『おおきなかぶ』など、日本の代表的な絵本を出版しています。多文化共生や人権教育など、社会的なテーマにも積極的に取り組んでいます。
  • あかね書房:『ぼくのおじいちゃん』や『ぼくのおばあちゃん』など、家族や親子の絆を描いた絵本を出版しています。世界の子どもたちの暮らしや文化を紹介する絵本も多くあります。
  • ひさかたチャイルド:『ぼくのおとうさんはおかしやさん』や『ぼくのおかあさんはおはなやさん』など、子どもの目線で職業や社会を描いた絵本を出版しています。障害や病気など、子どもが直面する困難にも寄り添う絵本もあります。

以上のことから、偕成社、パイ インターナショナル、ポプラ社、福音館書店、あかね書房、ひさかたチャイルドは、出版社の候補としておすすめできると思います。どれも鳥や多様性に関する絵本を出版しており、系統が近いと言えます。もちろん、他にも鳥や多様性に関する絵本を出版している出版社はたくさんありますので、ウェブ検索の結果を参考にしてみてください。

私はあなたの翻訳したい本が日本で出版されることを願っています。頑張ってくださいね😊”

「鳥」に関するおすすめのところまでは最初の回答と同じだったのですが、後半で別途「多様性」に関するおすすめが出てきました。ChatGPTでも、どのバージョンを使うかによって提案される出版社がまったく違うのですね。全体的には、こちらのほうが「なぜ?」と思うところがなく、しっくりくる提案でした。また、「多様性」という言葉の解釈も、踏み込んで考えられているようです。あとは足で稼ぐしかないというのは変わりませんが……。

何社か持ち込んで、次にどこに持ち込めばいいのかわからなくなってしまった時など、活用できるのではないでしょうか。「素晴らしいですね」などと必ずほめてくれるので、モチベーションを保つためにも役立ってくれそうです。

他の観点からも提案が欲しいと思い、今度は別の指定をしてみました。それは……次回に続きます!

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※出版翻訳に関する個別のご相談はコンサルティングで対応しています。

Written by

記事を書いた人

寺田 真理子

日本読書療法学会会長
パーソンセンタードケア研究会講師
日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー

長崎県出身。幼少時より南米諸国に滞在。東京大学法学部卒業。
多数の外資系企業での通訳を経て、現在は講演、執筆、翻訳活動。
出版翻訳家として認知症ケアの分野を中心に英語の専門書を多数出版するほか、スペイン語では絵本と小説も手がけている。日本読書療法学会を設立し、国際的に活動中。
ブログ:https://ameblo.jp/teradamariko/


『認知症の介護のために知っておきたい大切なこと~パーソンセンタードケア入門』(Bricolage)
『介護職のための実践!パーソンセンタードケア~認知症ケアの参考書』(筒井書房)
『リーダーのためのパーソンセンタードケア~認知症介護のチームづくり』(CLC)
『私の声が聞こえますか』(雲母書房)
『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』(クリエイツかもがわ)
『認知症を乗り越えて生きる』(クリエイツかもがわ)
『なにか、わたしにできることは?』(西村書店)
『虹色のコーラス』(西村書店)
『ありがとう 愛を!』(中央法規出版)

『うつの世界にさよならする100冊の本』(SBクリエイティブ)
『日日是幸日』(CLC)
『パーソンセンタードケア講座』(CLC)

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