INTERPRETATION

第199回 「わかる、理解する」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

wrap head around (わかる、理解する)

To tell you the truth, the President’s speech was difficult. I wasn’t able to wrap my head around it. (正直なところ、大統領の演説は難しかったです。理解できませんでしたね。)

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wrap head aroundは「わかる、理解する」という意味です。特に難解なものを解釈するというニュアンスで使われ、話し言葉です。ただ、いつこのフレーズがお目見えしたのか今一つ調べきれませんでした。でも「頭を包み込む」という光景は何とも面白いですよね。

たいていの英単語には語源があるのですが、wrapを複数の英和辞典で引いたところ、確固たる語源がありませんでした。一方、wrapを使った表現は他にもあり、たとえばwrap-up(結論)、keep … under wraps (計画などを秘密にしておく)があります。

ところで食品を包む「ラップ」は米語の場合、plastic wrapですが、イギリス英語はcling filmです。「引っかかるフィルム」というのが興味深いですよね。もっとも、お皿へのくっつき度合いは日本の商品が最強だと私は思っています。イギリスで暮らしていたころ、「clingしないcling filmだわ~」とボヤキながら悪戦苦闘していたのでした!

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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