INTERPRETATION

第55回 「人生における突然の転機」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

one’s road to Damascus 人生における突然の転機

Yesterday’s seminar was very interesting.It was my road to Damascus moment.

昨日のセミナーはとても興味深かったですね。私の人生における突然の転機という瞬間でした。

 今回ご紹介するのはone’s road to Damascus(人生における突然の転機)という表現です。この表現は他にもthe road to Damascusあるいはa road to Damascusとも表します。もともと聖書に由来するフレーズです。聖パウロがダマスカスへの道で神の声を聞き、クリスチャンになったという話から来ています。文字通り訳せば「ダマスカスへの道」となります。

 さて、現在ダマスカスはシリアの首都です。ここ数年シリアでは内戦が続いており、古代から続く美しい街・ダマスカスも、戦いの連続で破壊されています。私は日ごろCNNなどの放送通訳に携わっているのですが、シリア内戦のニュースは連日のように報道されます。画面に映し出されるのは傷つき、苦しむ市民の姿です。そうした映像を見るたびに、今日本で暮らす私たちに何ができるのだろうかと自問します。

 「たまたま」平和な日本に生まれたという偶然性も、実は世界的規模で見れば「ごく少数の恵まれた国民」ということになるのです。それを忘れてはならないと私は思います。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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