INTERPRETATION

第79回 「小さな役割を果たす者(物)」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

cog 小さな役割を果たす者(物)

The host country should understand that foreign workers are a vital cog in the economy and should respect them.

受入国は、外国人労働者が経済において小さな役割を果たす不可欠な存在であることを理解すべきであり、尊重するべきでしょう。

 この文章に出会ったのは、NPRというアメリカの公共ラジオ放送においてでした。最初cogと聞いた時、一瞬kegというつづりが頭に浮かんだのです。「ビールのたる?まさか!」と思いましたので、すかさず聞いた通りの音であるcogを走り書きしました。ちなみに私は新しいフレーズに遭遇した際はなるべく文章を丸ごと書き出すようにしています。放送の場合はあまりにも早いので、すべてを記すのが難しいものの、単語だけよりは文章の方が臨場感も出るのですよね。家じゅうにメモ用紙とペンを置き、気になるフレーズは書き留めるようにしています。

 さて、今回ご紹介するcogは「歯車の歯」という意味です。日本語では「歯」と言えば口の中にあるtoothが思い当たるのですが、英語では使い分けています。たとえばcog in a machineであれば「機械の中にある歯車の歯」という語義になります。

 「小さな役割を果たす者(物)」という意味を今では持つcogですが、もともとはスウェーデン語のkuggeから来たとされています。英語で用いる場合、どちらかというとネガティブな状況の方が多く、just a small cog in the company(会社の小さな歯車)といった文脈でも用いられます。また、くだけた意味として「盗作する、剽窃する」という動詞でも使えます。

 こうした機械関連の用語も日常的な場面で使われているのですよね。紙の辞書であれば冒頭に「専門分野略語表」が出ています。記号は「機」です。パラパラと辞書をめくりながら「機」の印が出ている単語を探すのも面白い作業です。

Written by

記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。 上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。 ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。 ESAC(イーザック)英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。 通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。

END