INTERPRETATION

第82回 「言ったなんて言わないで」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

Don’t put words into my mouth. 言ったなんて言わないで

I never said that! Don’t put words into my mouth.

そんなこと一言も言っていないよ!私が言ったなんて言わないで

 Don’t put words into my mouthは「私が言ったなんて言わないで」という意味です。直訳すれば「私の口の中に言葉を入れないで」という意味で、「言いもしないことを言ったなんて言わないでほしい」となります。「ことばという目に見えないものをかき集めて、相手の口の中に押し込む」と想像すると、何だか無理強いしているのが目に浮かびますよね。そのような行為から生まれた表現です。

 ところで私は日ごろから自宅では紙版の英和辞典を使っています。現在愛用しているのは大修館書店の「ジーニアス英和辞典(第4版)」です。ここでmouthを辞書で改めて引いてみると色々な発見があります。特に面白いのは発音の違いです。mouthには名詞や動詞、さらに名詞の複数形によって発音が異なることが記されているのです。また、「口の」という所有格でmouth’sとした場合の発音も違うのが分かります。

 最近は学校でも発音記号の指導が行われないそうですね。でも発音記号は規則さえ分かれば実に便利なものです。濁る音や濁らない音なども、発音記号で確認すればしっかりとした発音を身につけることができます。敬遠せず、ぜひ「楽しい暗号解読!」というアプローチで一度見てみて下さい。きっと新たな発見があることと思います。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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