INTERPRETATION

第88回 「避けたいテーマ」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

third rail (危険なので)避けたいテーマ

Tax increase is the third rail of our politics.

増税は我が国の政治において避けたいテーマです。

 third railは文字通り訳すと「第三のレール」となります。アメリカやイギリスなどの鉄道は第三軌条方式といい、レールの軌道脇に電力を供給するためレールがもう一本敷かれています。これに触れると感電するということから、「政治家がその話題に触れた場合、地位を失いかねないテーマ」を指すようになりました。政治用語として用いられるフレーズです。

 

 ところで辞書でrailを引くと、「鉄道軌道」そのものを表す際は通常複数形で用いるとの説明があります。Do not cross the rails.(レールを横切るな)という具合です。あえて知っている易しい単語もこうして調べ直してみると、勉強になりますよね。

 

 さて、イギリスに暮らしていた頃、私は電車で通勤していたのですが、遅延や運休は頻繁にありました。秋になると「落ち葉がレールに落ちたので遅延」、普段も「運転士が欠勤したので運休」、「車掌が遅刻したので遅延」などなど、多種多様な(?)お知らせ(という名の言い訳!)が自動音声で流れていました。そのような環境に慣れた分、日本の復旧の速さには目を見張るものがあります。何を基準に考えるかによって、日常生活でのイライラも消えるように思う次第です。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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