INTERPRETATION

第243回 「しっかりと掌握する」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

have a firm grip on …  (~をしっかりと掌握する)
 We must do better to have a firm grip on the budget. Otherwise, we will not be able to make a profit.  (予算をしっかりと掌握するためにもっと努力せねばなりません。さもないと利益を生み出すことができなくなります。)

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今回ご紹介するのはhave a firm grip on … (~をしっかりと掌握する)という英語表現です。gripは「つかむ、把握する」という動詞の他に、上記の表現に出てくるような名詞としての用法もあります。名詞では「把握、グリップ、理解力、人を惹きつける力、支配力、統率力」といった語義が辞書には出ています。

gripを使った他の表現では、have a good grip on a situation(情勢をよくつかんでいる)、take a grip on oneself(自制する)などがあります。

grip自体は古英語のgrippan(つかむ)から来た単語です。そのもととなったのがgripeという語で、この単語は現在「お腹をきりきり痛ませる」という意味です。しかし以前は「苦しませる、握る、つかむ」という語義もあったのは興味深いところです。

ところで2月におこなわれたテニスの全豪オープン、女子決勝では大坂なおみ選手が見事優勝しましたよね。私もテレビにかじりついて声援を送っていました。ちなみに私がテニスで思い出すのは幼少期に暮らしたイギリスです。イギリスの学校では夏のスポーツとして体育の授業でテニスをおこないました。グリップの握り方が私には難しく、最初は難儀していましたが、そのうちテニスの楽しさに目覚め、とても楽しんだことを覚えています。もっとも、大人になってから再挑戦した際にはヘナチョコ・プレーで自分でもびっくりでした!

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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