INTERPRETATION

第130回 「停滞期間」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

the doldrums 停滞期間、スランプ

Finally the team escaped the doldrums by scoring three goals against their biggest rival

(最大のライバルを相手に3得点を決めることで、チームはスランプからようやく脱することができました。)

doldrumsは「停滞期、スランプ」という意味ですが、海事用語では「無風帯」という語義もあります。これは赤道付近の海域で風が吹かない地帯のことです。オックスフォード現代英英辞典で調べると、赤道でこのような状況に見舞われた帆船は航海を続けることができず、風不足で立ち往生するとの説明がありました。

doldrumsの語源は定かではありませんが、リーダーズ英和辞典にはdullとtantrumがつながった語なのではと出ています。dullは「鈍い」、tantrumは「癇癪」ですよね。

doldrumsの用法として覚えておくべき点は、定冠詞のtheを必ず付けるということです。ほかにもたとえばShe is in the doldrums.(彼女は気がふさいでいる)、The economy remains in the doldrums.(経済は停滞期にある)といった用法もあります。

ところで私は最初doldrumsという語を耳で聞いたとき、何かdrums(ドラム)から来た単語だと思っていました。そこで電子辞書でdrumが付く語を調べたところ、色々あることがわかりました。珍しい語ではhumdrum(平凡な)、panjandrum(大将、御大)がありましたし、その一方でニュースでは時々conundrum(難問)という単語も出てきます。一つの語をきっかけに、ぜひ皆さんも楽しみながら単語調べをしてみて下さいね。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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