INTERPRETATION

第216回 「地方を遊説する」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

barnstorm (地方を遊説する) 
Since this year is the election year, many politicians are barnstorming that state. (今年は選挙年であるため、多くの政治家たちがその州の全域で遊説しています。)

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「地方を遊説する」を英語でbarnstormと言います。これはアメリカの口語表現ですが、barnstormは他にも「(芸人が)地方巡業をする」「プロのスポーツチームがレギュラーシーズン終了後、エキシビションゲームをしながら巡業する」という意味もあります。

この語の語源はなかなか面白いものです。「ランダムハウス英和大辞典」によれば、初出は1883年。そうした巡業者を受け入れていたのが納屋(barn)だったからだそうです。なお、barnの語源は古英語のbere-で、barley(大麦)と-ern(家)が組み合わさっています。

ところで-stormを使った語は他にもあります。brainstormは日本語でも「ブレーンストーミング」でおなじみですよね。一方、Desert Stormは1991年の湾岸戦争の作戦コードネーム。rainstormは「暴風雨」です。ちなみにfirestormは石油やガス火災などによる「大火」という意味に加えて「猛反対」という語義もあります。

なお、日本相撲協会のHPを見ると、日本語の「巡業」は英語でtourとなっています。「春巡業」はspring tourです。巡業は相撲道の普及や地域活性化、青少年の育成などが大きな目的だそうです。
http://www.sumo.or.jp/Jungyo/timetable/

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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