INTERPRETATION

第9回 適している

柴原早苗

すぐ使える英語表現

right up one’s alley 物事が人の能力に適している 

Your new job sounds right up your alley.

あなたの新しい仕事は適しているように見えますね。

 right up one’s alleyは1600年代に生まれた表現で、「物事が人の能力や趣味に適している」「お手のものである」という意味です。alleyは庭園や公園などの小道、または車の通れない横町などを指します。しかしここでは「自分の領域」というニュアンスでとらえられているのです。同様の表現にcup of teaというのがあり、Baseball is his cup of tea.(野球はお手のものだ)という具合に使われます。

 right up one’s alleyはright down one’s alleyとして使うことも可能です。このようにdownとupを入れ替えても同じ意味の表現はほかにもあります。たとえば、look down one’s nose at…およびturn up one’s nose at…は「~を蔑視する」という意味です。また、up one’s streetおよびdown one’s streetは「~の能力に合っている」という意味で、冒頭の例文に近い状況を示します。

 英語では中学校で習う基礎的な単語が複数組み合わさることで、全く別の意味を持つようになります。こまめに辞書を引くことで、そうした表現を増やしていけると楽しいですよね。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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