INTERPRETATION

第70回 「前面に立って」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

in the trenches 前面に立って

As for the budget issue, the president is deep in the trenches.

予算問題に関し、社長はまさに前面に立たされています。

 今回ご紹介するのはin the trenchesという表現です。困難な状況などの真っただ中にいる、前面に立たされている、という様子を表します。trench自体は「塹壕」という意味です。戦場で地面に溝を掘り、その土を前に積み上げて敵の攻撃から身を守る役目を果たします。「トレンチコート(trench coat)」はここから来た単語で、もともとは第一次世界大戦中、イギリス兵が塹壕(trench)の中で着用したコートなのだそうです。こうした由来を知るのも英語学習の楽しみですよね。

 

 ちなみに軍事用語の語源は調べてみるとなるほどというものがかなりあります。たとえばshrapnel(爆弾の破片)は19世紀初頭にイギリス陸軍将校Henry Shrapnelが発明しました。grenade(手投げ弾)の語源はスペイン語のgranadaで「ザクロの実」という意味です。手投げ弾の形がザクロの実に似ているという由来があります。スペインの街グラナダ(Granada)もザクロがあるからとの説もあるそうです。ついでに中南米のグレナダ(Grenada)もザクロから、グレナディーン諸島(Grenadines)も同じとのことです。

 

 英語の軍事用語を調べたので、次は日本語を。「魚雷」は「魚形水雷」が縮まったものです。英語のtorpedoはラテン語で「しびれ」という意味で、魚の「シビレエイ」もtorpedoと言うそうです。torpedo the government’s plan(政府の計画を台無しにする)という使い方もあります。芋づる式にこうして調べていくと、色々な知識が入ってきます。自立学習がもたらしてくれる喜びです。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。 上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。 ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。 ESAC(イーザック)英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。 通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。

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