INTERPRETATION

第63回 「手元にある」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

at one’s fingertips  手元にある

I’m afraid I don’t have the latest figure at my fingertips. I’ll get back to you as soon as possible.

あいにく最新の数値が手元にありません。のちほど早急にご連絡いたします。

 at one’s fingertipsとは「手元にある、すぐ手に入る」という意味です。fingertipは「指先」を指しますが、at one’sを付けた場合は複数形のfingertipsと変化します。

 fingertipsを用いた表現は他にもあります。たとえばShe was a politician to her fingertips.は「彼女は根っからの政治家であった」という意味です。また、We were clinging on by our fingertips trying to stop them scoring another point. は「彼らがもう一点入れるのを阻もうと、私たちは切り抜ける努力をしていた」となります。

 ところで日本語では「手先」「足先」という単語がありますが、「指先」のfingertipのように直接そのものを指す語がないようです。「足先」はそのままfoot、「手先」はhandを用います。なお、日本語では「~の手先になる」「口先が達者だ」という具合に、本来の意味とは異なる表現もありますよね。ちなみに「~の手先になる」はact as an agent、「口先がうまい」have an oily tongueと言います。

 一つの英単語をきっかけに、ぜひ日本語の他の表現にも思いを馳せてみて下さい。そこから「調べるおもしろさ」を体感していけると、英語学習はより一層楽しくなってきます。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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