INTERPRETATION

第258回 「ご都合主義者」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

Vicar of Bray (ご都合主義者)
If you do not want to lose credibility, don’t change your opinions like a Vicar of Bray. (信用を失いたくないのなら、ご都合主義者のように意見を変えてはいけないよ。)

******

今回ご紹介するのは「ご都合主義者、風見鶏、情勢に応じて主義主張を変える人」を意味するVicar of Brayです。vicarは「牧師」、Brayはイギリス南部Berkshire(バークシャー)州に実在するBray(ブレイ)村です。このフレーズには歴史的背景があります。16世紀のヘンリー8世の頃、イギリスでは宗教が変わりました。それに合わせてブレイ村の牧師も王に合わせて新教や旧教にコロコロと変えたのですね。その様子は18世紀にイングランドの俗謡となり、このような意味が生まれたのでした。動画サイトでも聴くことができます:
https://www.youtube.com/watch?v=bdJkdQgcSJo

ところでvicarと聞いて私が思い出すのは、BBCのコメディ”The Vicar of Dibley”です。90年代後半から放映されたもので、ドーン・フレンチが教区司祭を演じています。教会=神聖なのかと思いきや、ドタバタだらけでとにかく面白い!日本でもぜひ放映してほしいです。
https://www.youtube.com/watch?v=7pqMFd0AnnA

Written by

記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

END